わかってるのに





恋人でもないのに





久しぶりに連絡しようと思ったら
先手を打たれたの



「ヒカル?」
『あかり?久しぶりー』
「うん。久しぶりー」


宿題をしてて、下からお母さんに呼ばれて
電話を変わったらヒカルだった

いつもなら誰か教えてくれるのに
ただにこにこ笑いながら受話器を渡すから
おかしいな、とは思ったけど



「夜にヒカルに電話しようと思ってたんだー」

指導碁お願いしようって思ってたから
先にかかってきたのは驚いたけど
すごく嬉しかった

その嬉しさをごまかすのは、結構大変


だって素直に嬉しさを伝えられるような
特別な関係じゃない

あたしとヒカルは幼なじみ

もうずっと変わらない関係

これからも一緒なんだと思う

それでもあたしはヒカルが好きで
幼なじみとしてじゃなくて好きで

ただこれから先も、あたしとヒカルは幼なじみ


気持ちが伝わらなくたって
それが変わらないならそれでいいの




『何か用事あった?』
「あ、うん。後で話すよ」
『ふーん』
「それよりヒカルは?」
『俺?あのさ、明後日あたりヒマそうだから、指導碁どうかなーって』
「え…」


電話も不意打ちだったのに、用事も不意打ちなの?

あたしとヒカルのたった一つの共通点

囲碁に関係してること

ヒカルは中学で碁のプロになって
高校には行ってない

行かないことを知った時は悲しかったけど
あたしさえやめなかったら、繋がりは持っていられることに気づいた

だからあたしは、高校でも囲碁部に入った

指導碁は、卒業式でヒカルがあたしにしてくれた約束

個人的にも、ヒカルは指導碁を打ってくれる

そんなときは、幼なじみでいられたことを
心から感謝するの




「あのね…」
『んー?』
「夜ヒカルに電話しようと思った用事ね」
『?うん』
「指導碁のことなんだ」


嬉しかった

あたしのことを忘れずにいてくれたことが

今もこうやって、叶うはずのなかった約束を
忘れないでいてくれることが




『偶然だな』
「ねー」


違うよ

ほんとは運命だって思いたい

幼なじみって、どこかで通じ合ってるって
信じてみたい




『ちょうどいいじゃん』
「うん!お願いしてもいいかな?」
『ダメだったら電話してないって』


ああもう
そんなに優しいから期待しちゃうんだよ?

恋人でもないあたしに、ヒカルがこんなに優しいのは

特別扱いしてくれるのは


あたしが幼なじみだから


それが幼なじみの特権だっていうなら
嬉しいけど、その中の複雑は埋められない




「ありがとヒカル。ごめんね?」
『何が?』
「ヒカル、恋人でもないあたしに優しくしてくれるから…」
『は?』
「彼女さんがいたら、ヤキモチ焼かれちゃうもん」
『は!?』


恋人でもないのに、ヒカルがこんなに優しいのは

女の子なのに特別扱いなのは

ヒカルがあたしにとって大切なように
ヒカルもあたしを大切に思ってくれてるから

たった一人の幼なじみとして




『もういいよ…』
「何が?」
『鈍感』
「えー?」
『バカあかり』
「えーっ!?」


わかってるけど、ちょっとは期待してもいいのかな?

いつか聞いてみてもいい?

ヒカルがあたしに優しくしてくれるそのわけ




『じゃあ金曜に俺んち?あかりんち?』
「ヒカルのとこ行くよ!」
『んじゃ、ガッコ終わったら連絡してな』
「うん!よろしくね」


今はまだちょっと怖くて勇気がないけど

その時にあたしも言えたらいいな

大好きの意味






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進藤さん。19歳のお誕生日おめでとうv
そんなわけで(ぇ)今年も企画をやるべく、素敵なお題をお借りしてきました。
またもl恋人未満なひかりで、10月末まで繰り広げていこうと思っています。
それだけで読めるお話にはしますが、順番にあげていくので、続き物っぽくなっていたりするものもあったりします、えへv

進藤さんから初めてのお誘い(やめて)
実は違うものを描こうと思っていたのですが・・・(><)
そっちも描けるといいな・・・とか言って、いつになるかわからなかったり(あせ;)

ということで、しばらく長々とやりますが、どうか最後までお付き合いいただけますようv
よろしくお願いいたしますっ(ぺこり)



2005.09.26
音羽桜姫。


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