違うのに似てる






似たもの同士






何も通じるものがなくたって




「ほら、今日は俺のおごりだから、早く食べろよ」
「すみません、…いただき…ます」


俺は今、ファミレスにいる

隣に座るのは和谷
前に座るのはあかり
そのあかりの隣が奈瀬

何でこんな状況になってるのかって?
俺が聞きたいよ



手合い日だったんだ

いつもどおりだったんだ

さっさと帰ろうって
何もかもいつもと一緒だったんだ

なのに







「ん?」
「何でもねぇ」
「何遠慮してんだよ」
「してないよ!目一杯食ってやる」
「そうそう。それでいいんだよ」


何たくらんでんだ?

いつもどおりだったのを狂わせたのは、和谷と奈瀬

帰ろうとしたら声かけられて
夕飯一緒に行こうって誘われて

普通に考えればわかったのに
疑いもなくついてきてしまった

何で考えなかったんだろう

この二人が何もなく、俺をご飯に誘うなんてことがないことに

おまけに、何故かあかりも一緒









「あかりちゃん。美味しい?」
「あ、はい。美味しいです」
「良かった」
「何か…すみません。あたしまで」
「いいのいいの。気にしないで。どうせ和谷のおごりだから」
「そうそう」


いつのまに、そんな仲良くなってんだよ


奈瀬とあかりならわかるけど、和谷まで










「お待たせいたしました。ハンバーグです」
「はいはーい」


奈瀬のご飯が運ばれてきた

和谷のおごりだからか、ちょっといいメニューだ









「おしょうゆ取ってくれる?」
『はい』



あかりと返事が重なって

取ろうとした醤油の前に、てのひらまで重なった










『ご、ごめん!』


謝り方さえ、声も重なる

慌てて手を離した










「はい、奈瀬さん」
「ありがと
あかりちゃんと進藤って、似てるのね」
「え?」
「は?」


何でこういう時に限って、あかりと一緒になるんだろう










「に、似てないですよ!」
「似てるよー」
「どこが似てるんだよ!」
「反応とかさ。息もぴったりみたいだし」
『似てない!』です」


また重なった











「和谷!」
「んー?」
「何で今日誘ったんだよ」
「お前のために、協力してやったんだよ」
「そうそう」
「協力ー?」


うなづく二人は、すごく怪しい

どうせからかうつもりなんだ









「あかりちゃんが好きなくせに、言えない進藤のために」
「え?」
「進藤が好きなくせに、言い出せないあかりちゃんのために」
「へ?」


今、両方何てった?

好きとか

こんなとこでばらすことか?









「好きなんでしょ?二人とも」
「めでたいねぇ。両思い」


やっぱり今日誘われたのは、これが原因だ

今更わかったって遅いけど、今度から気をつけよう








「どうなの?」
「言っちゃえ言っちゃえ」
「そんなんじゃないって!」
「そんなんじゃないです!」


また同じ返事

違うって否定されたことに、響かなかったわけじゃないけど










「やっぱり両思いって、お互い似るのね」
「似たもの同士だな」
「えと、あの…?」


これ以上ここにいたら、逃げられない


俺も

あかりも











「あかり、帰るぞ!」
「え…っ」


あかりの腕を引っ張って

捕まらないように店を出た

もう絶対、あいつらとご飯なんか食べない

決めた








「さっき和谷が言ったこと…忘れろよ」
「ヒカルも…忘れてね」


似てるって言われたこと、否定したけど
同じことを考えてたってことは、似てるのかもしれない











「ご飯、おいしかったね」
「ああ」
「和谷さんに、お礼言っといてね」
「会ったらな」


文句と一緒に伝えといてやるよ


だけど










「うちまで送ってくな」
「…うん。ありがと」


こうやって、あかりと一緒に帰れたことへの感謝は
心の中でしか言わない

あかりといると落ち着くのは
俺たちが似てる証拠?

似てるから理解しあえるんだろうか

でも今は、そんなことどうだっていい

似てるとか似てないとか

気持ちに正直なら、それでいい





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進藤さんお誕生日企画作品8作目・『似た者同士』でした。
また前作の続きになりました。
ひと段落気持ちの決着がついたのに、それから何週間後かに、今度は二人一緒に追及されました。
和谷さんが奈瀬ちゃんに相談して、二人であれこれ頭を使って考えたらしいです(笑)

あかりちゃんと進藤さんの似てるところは、恋愛オンチなところと、鈍いところだと思います(ぇ)
盛り上がってるのは和谷さんと奈瀬ちゃんで、本人達はいっぱいいっぱいです。
だけど一緒に帰れること。会えた事をこっそりお礼する進藤さんが、素直だと思いました(は)
今一歩踏み出せない二人ではありますが、少しずつ近づきつつはあるみたいです。
頑張ってほしいですねv(にこv)
って、進藤さんのお誕生日だから幸せにしてあげたいのに、遊ばれてばっかりだな(笑)




音羽桜姫。



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