言い逃れ出来なくたって
ごまかしたい気持ちだってある






今のナシ






あかりに告白された

それは突然で
ただ、どうしていいのかわからなくて
その場に立ち尽くした

あかりの気持ちだけを受け取って
俺はそのまま動けなかった






「はぁ…」



盛大な溜め息をはく

女々しいことこの上ないとわかってても
自分の情けなさにため息が出た


あかりの勇気が嬉しかった

俺だって、できるならそばにいたかったから

あかりと俺の気持ちが一緒なら
俺がちゃんと伝えれば、そばにいられるんだ


何も言えなかった

手を延ばすことすら


できなかった


やっぱり、何か言うべきだったんだろうか

言ったところで、俺はあかりに何をあげることができる？

何をどう伝えたらいいのか

カタチにこだわることしか、考えられなかった








「やっぱり･･･ちゃんと言うべきだよな」



このままじゃいけない

あかりが勇気を出してくれたんだ

俺だって今ある気持ちを、ちゃんとあかりに伝えなくちゃ







「うちに行けば会えるよな」



とりあえず、あかりを待ち伏せすることにした









「･･･」
「･･･よ」



待ち始めてから３０分くらい

制服姿のあかり









「あ、あのさ･･･」
「･･･」



ぽかんとした顔で、俺を見るだけのあかり

いきなり来たのはまずかったか








「き、昨日のことなんだけど･･･」


言いかけたら、あかりはぎゅっと目をつぶって言った









「ご、ごめん！昨日のは･･･昨日のはえと･･･」
「へ？」
「返事はまだ聞きたくないの！」
「あ、おい！あかり！」



せっかく伝えてくれた言葉はウソだったんだろうか


帰ってきたばかりだというのに、あかりは俺に背を向けて
さっき歩いてきた道をまた、走って戻りだした









「あかり！待てよ！」
「何でヒカルいたの！」
「返事しに来たんだよ！」
「まだ聞きたくないのー！」
「何でだよ！」



聞きたくないってなんだよ


「好き」なんて、そんな簡単に言える言葉じゃないだろ


俺だってそうなんだ

あかりだってそうに決まってる


作り上げてきたものを壊すのは、簡単じゃないって

軽い気持ちで言える言葉なんかじゃないって











「聞けよ！」
「いや！」



追いかけるけど、延ばす手は届かない











「好きだって言ってるだろ！」


叫ぶように出たのは、精一杯の告白



振り返ったあかり


好きだなんて、今初めて言ったのにな









「や、えっと…」
「ヒカル、今なんて…？」
「ちょ…ナシ…っ」
「え？」
「今のナシ！」



もうちょっとまともに言えなかったのかと

いくら仕方ないとはいえ、こんな告白

うまくいかない









「ナシにしてもいいから…
聞いたらちゃんと忘れるから」



涙を浮かべたあかりが、俺を真っ直ぐに見る

昔から弱いんだよな
あかりのその目に

そらしたくなる



もう一度チャンスをくれるなら

ちゃんと伝えたい


今、ここにある想いを

気づかないで、傷つけてきたかも知れない
あかりへの気持ちを










「俺。お前のこと好きだ」


顔が熱い

精一杯の気持ちは、届かなくたっていい

ごまかしたっていい


カッコ悪くたっていい

やっぱり好きなんだ









「ありがと。嬉しい」
「聞いたら忘れるって言ったんだから、忘れろよ」
「えー？じゃあヒカルも、あたしが言ったこと忘れてくれる？」
「俺は忘れないよ。」
「そんなのずるい！」


ずるくたっていい

あかりの気持ちも俺の気持ちも
忘れない


忘れてくれなくたっていいや

新しい二人の絆のスタート





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進藤さんおめでとう企画ラストは、『今のナシ』でした。
最後までヘタレでしたね（笑）最後らしく、ハッピーエンドにしてあげようかと･･･えへｖ（にこｖ）
とりあえず、幼なじみは卒業できそうですね。良かったヨカッタｖ
告白のネタは、いくつ考えても楽しいですｖいろんなパターンがあって。
原作がああいう形で終わってしまったので、やっぱりその後の二人を考えるのが好きで。
理想としては、１６歳の冬までには付き合ってもらいたいところ。
告白の仕方にもいろいろあるので、どこかでネタがかぶってるかもですが（あせ；）

というわけで、これで企画は終わりになります。
最後までお付き合いくださって、どうもありがとうございましたｖ
二人と一緒に、もどかしくどきどきしてもらえたら、嬉しいですｖ


音羽桜姫。