原因不明の異常










胸の鼓動












「ヒカル!」





捕まりたくない声に捕われた


しばらく会わないようにしてたのに
こういう時に限って、何故か出くわしてしまうもの



学校なんか、来るんじゃなかったと
初めて思った


けど、何となく避けてることを気付かれちゃいけない

気付かれちゃ困るような気がして

いつもどおりを装ってみる



















「あかりじゃん」
「何よぅ、その言い方」




どんな言い方かと、突っ込みたくなる

















「ま、いっか」
「いいのかよ…」
「名前呼んでくれたし」






笑った顔が可愛いと思ってしまった

俺やっぱり、この間からおかしい
絶対おかしい


















「で、何?」
「あ、うん」






あかりを目の前にして
何も考えられなくなるように、頭の中が真っ白になる

どうにかなりそうだ


















「あのね」
「うん」







気持ちをごまかそうと、自然にそっけない態度になる

気付かれちゃいけないのに


















「今度は、いつ指導碁打ってくれるかなって…」







指導碁

少し前までは何も考えることなくできたのに

あかりを俺の部屋に呼んで
まともでいられる自信

はっきりいって…ない



けど、断れない

会いたいと


今だけはそばにいてほしいと、願う気持ちだってある


追い詰めるだけだとわかっていても




















「そうだな、あかりが暇な時、教えてよ」
「ヒカルは?予定いいの?」







気を遣うあかり

離れてる気がする



















「どうせ夜なんだし…いつだっていいよ」
「ヒカル?」






苛立ちが支配する



わからないこのもやもやに

俺一人が、勝手に押し付けてるだけなのに


あかりには、何も罪はなくて
あかりは何も変わらないのに



















「どうしたの?あたし、何か言った?」





心配そうなあかりの顔を見たら
少し落ち着いた



そうだ

こんな顔、させちゃいけない


それなら、俺ができるのは

気付かれないようにするだけ


この胸の異常な音に

















「何でもないよ」
「ほんと?」
「ほんとだって」






言ってやると、さっきの顔は、ほっとした顔になる


そうだ


それでいい



















「指導碁だけどさ、ほんといつでもいいから」
「うん」
「あかりが暇なとき、電話してよ」
「わかった」







笑ったあかりの顔を見たら、ほっとした

けどそれ以上に、落ち着いてた心拍数は早まっていく

どうにかなるんじゃないかと思うくらい
音を刻んでいく



















「じゃあ電話するね!」
「あ、ああ」
「ヒカル、ありがと!」
「何が?」
「えへへー、楽しみにしてるね」
「おい!」






ありがとうの意味を伝えずに、楽しそうに笑いながら、俺に背を向けたあかり





















「じゃああたし、行くね」
「ありがとうって何が…」
「手合い、頑張ってね!応援…してるから!」







そう言って駆け出す

その後ろ姿に、届かない
行き場のない手を伸ばしながら



















「何なんだよ…」




落ち着くことのない、心臓の音

理由のわからない胸の鼓動

どうしたらいいんだろう



会うたびに

それはどんどん大きく
早くなっていく


異常なまでの音に

どうしたらいいのかわからない気持ちを
いずれ理解するまで抱え続ける


増していく胸の鼓動








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藤崎あかり生誕祭。1作目は中学生ひかりでお届けしましたー。
「胸の鼓動」です。男の子進藤さんですよ!(笑)少女漫画バンザイですねv(にこv)
気づいたとたんに大きくなる鼓動。青春してますね(ヤメロ)
進藤さんのお誕生日企画で描いた『頑張ってるあなたが好きです』と、かぶらないように頑張りました(ぇ)
学校で出会ってるのに(しかも廊下)背景が全然見えない(笑)あら、不思議vv



お題提供サイト⇔WJモノかきさんへのお題



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