広がる

















甘酸っぱい


















「ただいまー」
「おかえりー」





ぱたぱたと音を立てながら、あかりが迎えに来た


















「お疲れさまー。ご飯できてるけど、どうする?」
「ん。先に食べる」
「わかったー!」





さっきから気になる
ふわりと鼻をくすぐった、今までに何度もかいだことのある
あかりのにおいとはまた違うような



















「何のにおい…?」




ぼそっと聞いてみると
あかりは振り返り


にこりと笑った




















「今日ね、いいものもらったの!」







部屋に入った時から感じた
甘酸っぱい香り

部屋中に充満してる




















「だからね、今日のお夕飯はそれなの」
「ご飯って…」








あかりが持って来たのは、ボールにたくさんのイチゴ





















「これが…夜ご飯…?」
「せっかく新鮮なのもらったから、すぐに食べないともったいないでしょ?」
「はぁ…」









さっき「ご飯できてる」って言ったよな

何も作ってないよな、これ。
それとも、あかりが作ったイチゴなのか?
いや、さっき「もらった」って言ったぞ



突っ込みたい

突っ込みたいけど突っ込めない




















「さ、食べよっか!」
「そうだな…」







まぁ
嬉しそうだからいいのか…?





にこにこ笑うあかりの前に座った

夕食は大きく積み上げたイチゴ

だけが食卓にのぼるなんて、うちも変わってるよな




















「いただきますっ!」



重ねた声


イチゴに手がのびた




















「そすそわけでね・・・今日イチゴ狩りに行って、たくさんとってきたからって」
「誰から?」
「ん?塔矢さん」
「塔矢がイチゴ狩り!?」
「あ、持ってきたのは塔矢さんだけど、持ってきたのは晴美さんだよ」






そんなこと、どうだっていいんだどさ




















「あたしも行きたいな、イチゴ狩り」
「もうちょっとしたらヒマになるからさ、そしたら行くか」
「え?いいの?」
「行きたいって行ったじゃん」





たまには、言うこと聞いてやんないとな


















「美味しいね、イチゴv」
「ああ」






熟しすぎでもなくて、ちょうどいい甘さかもしんない



















「コンデンスミルクがあったら、もっと最高だな」
「あ、そうだねー。急に決めたから、買うの忘れちゃったんだ」
「別にいいけど」





もう一つイチゴを口に運ぼうと手を伸ばして
何故か、あかりに目がいって


見つけてしまった
















「あかり」
「何?」
「・・・付いてる」
「え・・・」








身体を乗り出して、そのまま口でとってやった


ついでって言っちゃなんだけど

そのままあかりにキス




口いっぱいに広がる、甘酸っぱい香り



















「甘酸っぱい」
「ヒカル…!?」







どんどん赤くなるあかりが
やっぱり可愛かった



















「こうやって食べた方が甘い」




広がった甘酸っぱい香り

もっと甘くして




















「ウソ…」
「ほんとだって!試してみる…?」
「えっち…」
「何で…」




支配する甘酸っぱい香りは
君で甘くなる






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企画作品第2弾も、少女漫画風味でお届けしましたー。
いいですよね、少女漫画!(笑)
ひかりは何故か、少女漫画風味になる傾向有です。

「甘酸っぱい=イチゴ」という、方程式しか思いつかなかったです。うぅ・・・
イチゴ好きなので、一度イチゴをモチーフに描いてみたかったのです。野望達成(ぇ)
口の端っこについたものを口でとるのって、王道ですよね(にこv)




お題提供サイト⇔WJモノかきさんへのお題






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