信じてる














きっと、ここにいる
















「え？遠征？」







久しぶりのデートで聞かされた、残酷な言葉

だけどヒカルにはイイコト


















「急に頼まれてさ、断ったんだけど…」





ヒカルは困ったように笑った

















「ごめんな、ただでさえ会えないのに、またしばらく会えそうにないかも」






ヒカルは気付いてる

あたしがどんなに隠しても
いつも、会いたい想いを隠してること


だから
会える時には会いに来てくれる



おまけに今も
こうしてしばらく会えなくなることを教えてくれて

謝ってくれる



そんなヒカルの優しさが嬉しくて

時々イタイ


















「うん、わかった」
「ほんとごめん」
「いいよいいよ！お仕事だもん！それにね…」
「？」






ヒカルは一つだけ気付いてない




















「碁打ってる時のヒカル、あたし好きだから」






どんなヒカルだって、大好きだって言えるけど

夢を目指して頑張ってるヒカルが
一番大好き



その夢を、一緒に支えたいと思った

その夢が叶った時、誰よりもヒカルの近くにいたいって

思った


















「頑張ってるヒカル、あたし大好きだから」
「さんきゅ」






寂しくないって言ったら、ウソになる

だけど、寂しくない

だってヒカルは、あたしを思ってくれるから




















「あたしのこと、たまにでいいから思い出してね」






少しでいいから



















「忘れたことないよ」
「ほんとー？」
「ほんとだって。何で？」
「碁打ってるときは、忘れてるでしょ？」
「･･･たまに」
「やっぱり」






正直なんだから


















「でも、思い出してくれるんでしょ？」
「当たり前じゃん！」
「うん」






ほら、大丈夫

いつもそばにいるの


あたしの心の奥には、いつもヒカルがいるの


ヒカルの中にも、あたしがいるといいな

碁以外では、譲りたくない、ヒカル心の奥



















「嫌だったら嫌って言えよ？」
「嫌じゃないよ！ヒカルはちゃんと、あたしのこと忘れないでいてくれるでしょ？」
「忘れたことないって。いつもちゃんといるよ」









ほらね。だから



















「ヒカルが頑張ってるのを見るのが、あたしの幸せなんだよ」
「俺って、幸せモノだな」
「大げさだね」
「今、ほんとに思った」







それならあたしも幸せ


知ってた？

あたしの方が、たくさんヒカルに幸せ


もらってるんだよ


キリがないくらい



だからあたしも、ヒカルが幸せって思ってくれたら




















「そうだ！」
「どうしたの？」






急に思い立ったように、言葉を発したヒカル



















「これ。買ったんだ」








小さな袋に入れられたもの



















「何？」
「開けてみてよ」





いたずら好きの子どもみたいに

笑った




あたしはゆっくりと、閉じられた袋を開いた



















「ストラップ…」




小さな石が散りばめられた、キレイなストラップ

















「キレイ…」
「おそろいで買ってみた」





意地悪そうな笑顔で、携帯を見せる


















「それ見て、俺のこと思い出してよ」
「あたしは忘れたことないんだけど？」
「一応確認」







二度と会えなくなるわけじゃないのに



こんなにも必死で、お互いをつなぎとめるの
















「うん。ちゃんと思い出すよ」








会えない時も


















「これでずっと一緒だね」
「ずっとな」






離れていても、あなたはきっとここにいる



















「行ってくる」
「行ってらっしゃい」




あたしもずっと、あなたのそばに







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企画作品第５弾は、続いてシリアスなひかりでお届けいたしました。
きっとここにいる･･･最初描こうと思ってたのは、遠征どころの話じゃなかったような季がします。
何が描きたかったのか思い出せません･･･（だらだら；）
らぶらぶを目指してみましたが、シリアスに走ってしまうのは何故なのでしょう･･･
でも、二人のやりとりがらぶらぶっぽくで、やり取りだけはお気に入り･･･？のつもりです（何だそれ）
ここにいるから、頑張れます。二人を繋ぐ絆は、ここにいるのですｖそんな想い合う二人が理想ですｖ




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