気付かないものかな














天邪鬼

















「今度はいつ、あかりちゃん来るんだ?」
「は?」







あかりちゃん?
誰に了承とって、ちゃん付けしてんだよ



















「あかりが何?」
「だからー、今度はいつ、ここに来るのか聞いてんの」








何言ってんだ


















「あかりが来るわけないじゃん」
「何で?」
「あいつがここに来るなんて、理由がないじゃん」







用事があるわけでもない


















「じゃあ、何でこのあいだは来たんだ?」
「あれは来たんじゃなくて、たまたまいただけで…」





ただ、忘れ物を届けてくれただけで、意味があったわけじゃない


まして、俺に会いに来たとか

そんなんじゃなかった



少し期待してた自分が、すごく恥ずかしかった



それ以上に、そんなことを期待した自分に驚いた




















「大体なー、何で俺が、あかりのこと知ってるって思うんだよ」
「えー」
「付き合ってるとか、そんなんじゃないんだから、知ってるわけないじゃん」
「え?お前、あかりちゃんと付き合ってるんじゃないの!?」
「はぁ!?」







ちょっと待て!?




















「なななっ何で俺があかりと…つ…つつ…っ」
「…落ち着けよ」
「落ち着いてるよ!」








ほんと落ち着け





俺何で、こんなに動転してんだ!?




















「付き合ってないのか」
「当たり前だ!」







何なんだよ!
わけわかんねー




















「あかりは幼なじみ!ただの!」
「お前ってさー、ほんとわかりやすいな」
「何が!?」
「別にー」







言いたいことあるなら言えよ!

言いたかったけど、何か余計なこと言われそうだったからやめた



















「一つ聞いてもいいか?」
「…何」
「お前、あかりちゃんのこと好きだろ?」
「バカヤロー!!」






こいつとこんな話をした俺がいけないのか?

でも話の流れから仕方ないっていうか



さっさと話そらせばよかった





















「好きじゃない!」
「ほんとに?」
「だからあかりは、ただの幼なじみなんだって!」
「とか言って、ほんとは好きだろ?」
「違う!」
「誓って言える?」
「何でお前に誓わなきゃいけないんだよ!」







頭がいっぱいいっぱいだ

これじゃ、好きだって肯定してるみたいだ


取り乱しちゃいけない



あかりは幼なじみ

ずっとそう思ってきた



















「とにかく!あいつは幼なじみなの!」
「そこまで言うなら、信じてやろう。あんま説得力ないけど」
「何!?」
「別にー」







これで取りあえずは、話を終わらせることができる




と思ったのに



















「あかりちゃん、また来てくれないかなー」
「来ないよ」
「何で?」
「だから理由がないじゃん」
「ばかだなー、お前を使えばいいんだよ」






絶対いやだ!




















「使われるなんて、絶対ごめん」





あかり絡みなら、頼まれたってごめんだ


















「とか何とか言って、お前も会いたいとか思ってんだろ?」
「思ってない!!」





楽しんでるよなこいつ絶対



だめだ
ペースに乗せられちゃいけない

のに



















「あ、あかりちゃん」
「えっ」





振り返ってしまった



















「・・・」
「くくく・・・っ」






楽しそうに笑いをこらえた和谷



あーもう!
俺認めてる!?



認めてるのか!?


















「和谷ーっ!」
「あははははっ」
「笑うな!」
「原いてー」
「笑うなってばー!」







もうイヤだ


もう二度と



あかりに何か反応しない


気になんかならない

















「あ、あかりちゃん」
「騙されるもんか!」







いるわけない



はずなのに




















「ヒカル!」
「へ?」







聞こえてきたのは、聞き間違えるはずのないあかりの声




















「今度はほんとでしたー」
「・・・」







からかうような和谷の笑い顔が、無性に腹が立つ




















「良かった、ここにいて」
「お前、何でここにいるんだ?」
「忘れ物を届けに来たの」
「忘れ物ー?」
「はい、これ」






あかりが手渡したのは、碁石の入ったお守り袋




















「おばさんが届ける途中で会ったの。暇だったから、あたしが変わりに来ちゃった」






ついでね



そう、ついで




だけど、そんな風に笑うあかりに、少しだけ俺は、期待をしてもいいんだろうか




















「見つからなかったら、受付の人に頼もうと思ってたんだけど・・・」
「?」
「よかった。ちょっとでも顔見れた」
「!」





不意打ち


顔が熱くなる




















「最近、多いみたいだね。気をつけてね」
「あ、ああ」
「じゃあ、あたし帰るね」





そう言って、あかりは棋院から出て行く



後姿が遠くなっていく


手を伸ばしたくなった


















「何なんだよ・・・」






どいつもこいつも




あの言葉に、何の意味もない事なんて、わかってるのに


どういう意味なのかすごく気になって




俺の顔が見れて嬉しかった?






そんなの





俺だって一緒だ



















「お前、また忘れ物したのかー?」
「ぅわっ!」








自分の世界に入っていたことに気づかされて



あかりのことになると、いっぱいいっぱいになる


何でなんだろう






とっくに気づいてる?



この気持ちに



















「やっぱ可愛いよな、あかりちゃん」
「可愛くない!」
「…天の邪鬼だな、お前」
「お前なんか嫌いだ!」
「あかりちゃんは好き」
「覚えてろよ!」







絶対しかえししてやる



天の邪鬼?


望むところ

自分の嘘で、守るものがある


照れ隠しだって言われても
気持ちだけは隠し続ける

たとえ、この気持ちが本当だとしても










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企画第13弾は、恋人未満などたばたひかりでお届けいたしましたー。『天邪鬼』です。
これを描くにあたって、意味を調べたのですが、簡単に説明すると、「何かを言えば、反論する」ってことです・・・よね?
思ってなくても、人の意見に対して、けちをつける・・・とか考えると、お題にそってないですね(だらだら;)
ですが、進藤さんは、天邪鬼ですよね!同意求めます(笑)

これ、描いててすごく楽しかったのです。年齢は多分、15歳くらいです。高校生にあがる前の春休みくらいでしょうか。
そのわりには、進藤さんの性格がこどもっぽく、話し方も子供っぽいような気がしますが、原作を思い浮かべると、
あかりちゃんの前ではオトナっぽくなっていても、塔矢さんとケンカしたりとかしてたので・・・基本的には変わってないかと思って。
そうしてみました。
和谷さんにからかわれて、必死に反論して、振り回されてる進藤さんが、ヘタレですごくいとおしかったです(笑)ゆがんだ愛です(笑)
やりとりで笑っていただけたら、楽しんでいただけたらいいなぁ。進藤さん、半分泣き入ってますから(笑)
ひかり祭なのに、あかりちゃんの出番が少ないのは・・・えへv(何)次回頑張ります






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