こそりと確かめる

















変装



















「俺明日、出かけてくるから」
「あ、うん。わかった」





夕食時
ヒカルはあたしに突然告げた

あたしは返事するしかなくて
だけど心の中で、少しだけ疑いを持ってた




















「ご飯は?」
「帰ったら食う。待ってて」
「うん」





最近のヒカルは、何だかちょっと

おかしい



何がって言われると困るんだけど
しいて例えるなら…態度


優しいのも前と変わらないのに
何かが違うの

帰りも遅いし、オフの日も
出かけることが多くなった



まさかって思うけど
嫌な考えがないわけでもない


確かめなくちゃいけない






決めた

明日、ヒカルの後を付けよう






信じてないわけじゃない


信じてないみたいで悪いけど
ヒカルの疑いを晴らすためだもん


ちょっイヤらしいけど…許してもらおう

ばれなきゃいいんだし

変装すれば、きっとばれない



あたしは、実行することを決めた




















「んじゃ行ってくるな」
「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね」
「おー。なるべく早く帰るな」
「待ってるね」






翌日
計画がばれないように、いつもどおりに送り出した


ヒカルが見えなくなる前に

あたしは変装をして
ヒカルの後ろ姿を追った



普段着なれないスーツに、ダテメがね
髪の毛はアップにして
おとなっぽくしてみた


これなら絶対ばれない


うん



自信あるんだから




















「いけない!」




見失わないように
あたしは足を急がせた



しばらくあとをついて行く

ただヒカルは歩いてるだけで、立ち止まらない

電車には乗らないのかな

乗られると少し困るけど

また少しついて行ったら、ヒカルは駅に入っていく
















「何で?」





近くの駅じゃない

わざわざ離れた駅から電車に乗るのは

何で?


やっぱりそうなのかな



嫌な考えに泣きたくなった




















「確かめなくちゃ…!」




そのために来たんだから


泣くのは確かめてから

ヒカルを疑いたくない


あたしが今してることは
言い訳したって、疑ってるって言われても
思われても仕方ないけど


やっぱりヒカルのこと



信じたいよ







だからごめんね







あたしはヒカルのすぐあとについて
行き先を突き止めて
一緒に電車に乗り込んだ

なるべく近くではぐれないように


ばれるかもしれないけど
はぐれたら何の意味もない






しっかり決めたばっかりなのに

















「あ・・・っ」





人ごみに飲まれながら、ヒカルを見失わないようにしてたのに

電車から降りたあとも、ちゃんと後姿を見失わないように



してたのに


















「あ、あれ?」




見渡してみても、ヒカルの姿

ヒカルらしい姿も見当たらない



















「え?あれ?」





初めて来たところ

あとをつけるのに必死で、道なんか覚えてない



















「どうしよう…」



疑ったバツ?


ヒカル、どこに行っちゃったの・・・?




















「わっ!」
「ひゃあっ」




急に聞こえた声に、心臓が飛び跳ねた



驚いて振り返ったら


いた

















「ヒ、ヒカル…っ」
「何してんの?」
「え、えと…」
「それに何?そのかっこう」






何であたしだってわかるの?


ちゃんとわからないように変装してるのに

絶対ばれない自信あったのに




でも思わず呼んでしまった名前


















「あ、あのね…」
「つけてたろ?」
「何で…!?」
「ばればれだし…」





バレバレ・・・

そんなにわかりやすいのかな



これじゃ変装の意味、全然ないじゃない
















「何でつけて来たの?」




いきなり確信を付く質問


でもヒカルの顔は、何となくわかってる顔


















「最近ヒカルがおかしいから…」
「そうかぁ?」
「浮気してたらどうしようって思って…」
「…」






しばらく黙ったあとに


















「あはははは!」






大声で笑い出した




















「疑ってたんだ?」
「ごめんなさい…」
「まぁ・・・見せてもいいかな」
「え?」
「ついてきてもいいよ?」
「うん・・・」





ヒカルが差し出してくれた手を取って

ヒカルと一緒に歩いた











連れてこられた場所にいた


子猫

















「どうしたの、このコ」
「んー・・・捨てられたみたいでさ」
「そうなんだ・・・」





指を子猫に近づけてみたら

じゃれ付くようにすり寄ってきた



可愛い

















「飼えそうなやつもいないしさ、でもかわいそうだろ?」
「そうだね」
「だから、日替わりでみんなで面倒見に来てたんだ」






たまたま、ヒカルが休みの日の担当で・・・



あたしったら、一度でもヒカルを疑ったりして
ひどいね

















「今度は、あたしも一緒に来ていいかな?」
「別にいいけど」






子猫ちゃんにもごめんね



















「で?疑いは晴れましたか?」
「ごめんさない・・・」
「よし」





ヒカルには、初めからばれてたのね


変装なんて小細工

何の役にも立たなかった

















「じゃあ、帰りますか」
「うん」





ヒカルと手を繋いで

















「あたしの変装、そんなにすぐわかっちゃった?」
「それ変装なんだ?」
「ぅ・・・一応・・・」






ヒカルはイジワルに笑って、あたしを見る


















「何でわかったの?」
「あかりだから」
「え?」







あたしだからわかってくれた?



何か



嬉しい



















「遠回りして、歩いて帰りたいな」
「遠いぞ?」
「ヒカルとだからいいの」






一緒に歩きたいの


















「んじゃ、仰せのままに」
「へへへ」







疑うことはしたくない

信じていたいから





だけど不安になった時には、こそりとあなたを確かめる










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企画作品第弾は、頂きましたお題・『変装』です。
お題を提供をしてくださった椎名悠里さま、どうもありがとうございましたvv

変装・・・絵じゃないので、うまく表現できたかdどうか微妙ですが。
進藤さんの浮気を疑ったあかりちゃんに、いつもと違うお姉さまな格好をさせてみたつもりです(ぇ)
変装して後をつける・・・ありきたりですかね・・・(あせ;)
あかりちゃんの変装に対して、進藤さんがすぐにわかったのは、愛です(笑)
進藤さんは、どんなあかりちゃんでもわかるんです。愛が深いのです(えー)
オチは子猫ちゃんの発見という・・・ラストどうしようか、迷ったり・・・

こ、こんなのでよろしかったでしょうか?少しでもお気に召していただけると幸いです(><)
何はともあれ、お題のご提供、どうもありがとうございましたvv心からの感謝を込めましてv
今後とも、どうぞよろしくお願いしますっ(ぺこり)




さまのみ、お持ち帰りどうぞですv





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