歩こう














水たまり


















デートの帰り

急に降り出した雨に足止めされた





途中で雨宿りして
綺麗な虹も見た


二人一緒な帰り道












「結構降ったな」
「ねー」





そんな長い時間にも感じなかったのに
地面にはたくさんの水たまり












「ねぇ見て、ヒカル！」
「何ー？」
「ほらほら！水たまり。こんなにいっぱいー」
「雨降ったんだから、水たまりくらいできるだろー」
「そんなことわかってるもん！」





ヒカルったら
いつもそんなイジワルばっかり


















「面白いよ！顔が映るの」
「お前…」
「何？」
「可愛い」
「何が！？」





あたし、何もしてないのに

ヒカルは、あたしを照れさせるのが上手

















「あたし、何もしてないよ？」
「何もしてなくても、あかりは可愛いの」
「ヒ、ヒカル…」







恥ずかしい

















「あんまり可愛いって言わないでくれる…？」
「何で？」
「恥ずかしいもん…」





ヒカルに言われるのは嬉しい


けど、恥ずかしい


あたし、そんなに思ってもらえるほど
可愛くない


















「イヤ？」
「イヤじゃないけど…」




イヤじゃない


これっぽっちだって、イヤなんかじゃない





















「なるべく言わないようにする」
「そうしてくれると嬉しい」




ヒカルは少しすねたような顔をした


可愛い

















「ヒカルも可愛いね」
「可愛くない！」
「可愛いよ！」






ヒカルは、可愛いって言われるのをすごく嫌がる

ホメコトバのつもりなのに


















「俺は男なの！」
「知ってるよー」
「女に可愛いって言われんのヤダ」






そうだよね

ヒカルは立派な男の子
あたしをちゃんと、女のコとして見てくれるんだから




















「なるべく言わないようにしまーす」
「そうしてください」





目が合った瞬間
何だかすごくおかしくて

あたしたちは笑い出した



















「お互い様じゃん？」
「そうだね」





大好きな人には、大好きだってことを伝えたい


それは偽りない気持ちだから




















「ハラも減ったし、そろそろ帰るか」
「そうだ…」




『ね』って言おうとした瞬間

足下が急に冷たくなった


















「何してんの？」
「水たまりにハマったー！」
「ドジだなー」
「違うもん！」






これじゃ、バカにされちゃうかな



ヒカルのことを見てたら
足下も何も、あたしの目には映らなくなった

それだけ




















「ちゃんと見てないからだな」





ケタケタとからかうヒカルに、何だかすごく悔しくて


















「えい！」
「わっ！」





ヒカルの身体を軽く押してみた


ヒカルはバランスを崩して
水たまりに足を突っ込んだ




















「つめてー」
「これでおそろいだもーん」
「やりやがったなー！」
「きゃーっ」





ヒカルの腕があたしに回って

夕陽が水たまりに反射して
あたしたちを朱色に染める



















「冷たいってばー！」
「おあいこだろ？」
「ちょっとイジワルしただけだもん」
「イジワルしたのかよ」






何となく帰るのがおしくて

足下が冷たくたって構わなかった


もう少し遊んでいたいな


じゃれあうみたいに








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企画作品第１１弾は、頂きましたお題より・『水たまり』です。
お題を提供してくださった、徳岡由季さまｖありがとうござまいますｖｖ

水たまりだったので、お借りしたお題の『雨宿り』とリンクさせてしまいました（＞＜）
由季さん、勝手にすみません；よろしかったでしょうか？；；
水たまりで遊ぶ二人が描きたかったのです。小さい頃、よく遊びました。
長靴はいて。今でもたまにやります（ぇ）キレイな水を傘でかきまぜてみたりとか。
水たまりで遊ぶ、ちびひかりも描いてみたかったり･･･します。
そのうち。多分そのうち描いてるかもしれません。

こんなのでよろしかったでしょうか？少しでもお気に召していただけると幸いです（＞＜）
お題提供、どうもありがとうございましたｖｖ
※徳岡由季さまのみ、お待ち帰りできます。


音羽桜姫。