何もかもを照らし出す















月光

















「ん…」







小さな音が聞こえた気がして

あたしは目を覚ます


いつもなら気付かないような、小さな音だと思う

耳を澄ませてみても、同じ音は聞こえなくて
気のせいだったのかって思った






そのまま寝ることも出来たのに
何故かしたくなくて

あたしはゆっくりと身体起こした






部屋全体を照らして映し出す
まぶしい月の光


今日の月は、こんなにもキレイだったのね




















「綺麗…」




思わず呟いてしまうほどに、光は強く感じた




すべてを照らす光も

あたしのそばにいた人の姿を見つけることができない



今気づいた


ヒカルが隣にいないことに



















「ヒカル?」





見渡してみても、その姿はなくて


不安になることなんかないのに
少しだけ寂しくなる








カタンと音がして
驚いて振り向いた




















「あかり、起きたのか」
「ヒカル」




いた


見つけた


月光に映えるヒカルの髪の毛

すごく綺麗



















「ひょっとして起こした?」
「ううん、平気。ヒカルは起きてたの?」
「目が覚めただけ」
「そう…」






さっきの音で気が付いた

あたしが聞いたのは、ヒカルが部屋を出ていった時の音だったんだ




















「寝ないのか?」
「寝たくないの」
「何で?」
「こんなに月が綺麗なのに、寝ちゃうなんてもったいないなって」
「ああ、そうかも」





ヒカルが月を見る


あたしも同じものを見る



同じ場所で、同じものをみられる幸せを
些細なきっかけから実感するの


















「目が覚めたら月が綺麗なんて、すごく素敵だね」
「好きだよな、そういうの」
「だって…」





女の子は、ロマンチックが好きなのよ

運命とか、あるなら信じたいと思うもの




















「光があると、すぐに見付けられるから…いいよな」
「え?」
「暗いと見えないものが、光で見つけられるだろ」





ああ

ヒカルが起きていたのは、そういうことだったのね




















「眠れないの?」
「別に」
「隠したって、わかっちゃうから」
「…うん、ちょっと眠れない」






やっぱり

だって明日は、ヒカルにとって大事な手合い

眠れないの、当然だよね



だったら、ヒカルが少しでも安心できるように

月に祈ってみるわ



叶わない願いなんか、あるはずないから

大切な人のために祈るの





















「ね、ヒカル。今日の月、綺麗だね」
「ああ」
「こんな月明かりの日は、願い事が叶うんだよ」
「は?」






突然って顔してる



ヒカルが信じられなくてもいい


あたしはただ祈るの


ヒカルを想って





















「月明かりは、迷い道を照らす光だから」





ヒカルが迷った時は、光を道しるべに
ヒカルの道を照らして








「さんきゅ」
「えへへ」





あたしが光になれるのなら、どこへだって導いてあげたい


だけどそれはできないから



せめて月明かりが
ヒカルの道を明るく照らしてくれるように





眩しい月光



どうか


支えになる道を照らし出して




















「お願いしたから、絶対叶うよ」
「百人力だな」
「任せて!」




あたしにできることをするわ

祈るしかできなくても



















「眠れそう」
「ほんと?」
「寝るかな」
「うん」






月光に照らされて


月の光に包まれて


あなたの隣であなたの夢を見たい


















「明日、頑張ってね」
「ああ」
「そばにいるからね」




心だけは




















「負けらんねぇな」
「負けないよ」
「お休み」
「お休みなさい」





月がこんなに綺麗な夜は、きっと願う思いも叶う気がする


だから祈るの

あなたのことを







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企画作品第14弾は、頂きましたお題より・『月光』です。
お題を提供してくださったminyoさまvありがとうございますvv

「月光」。月の光。そのままですね(あせ;)
塔矢さんとの対局は何度も迎えるけれど、やっぱり特別だから。そのたびに特別な気持ちになります。
佐為さんが消えてからも、一緒に戦っている進藤さんですが、塔矢さんの場合、とくにその気持ちが大きくなるみたいです。
だから眠れなくて。目が覚めてしまって・・・月を見て、佐為さんを思い出して、落ち着いていたのかもしれません。
シリアスを目指しつつ、らぶらぶも目指しつつ。頑張ってみました。
進藤さんにとって、あかりちゃんは立派なひかりになっています。それはあかりちゃんが気づいていないだけなのです。
明るい月のひかりで、その行く先を照らし出して導く。たとえ、代わりにはなれないとしても。
あかりちゃんがいて、支えてくれれば、それだけで進藤さんは頑張っていけるのです。


こんなのでよろしかったでしょうか?少しでもお気に召していただけると幸いです(><)
お題提供。どうもありがとうございましたvv今後とも、よろしくお願いいたします!
※minyoさまのみ、お持ち帰りどうぞです。




音羽桜姫。






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