それならば忘れないで












いつか消えてしまう…














夢を見た

あいつがいた夢を

それは儚くて
だけど懐かしくて

忘れられない日の夢だった
















「…ル…ヒカル…ヒカル!」
「ぅ…」




目を開けた先に浮かんだのは
あかりの心配そうな顔














「大丈夫?」
「うん」




もう何度、同じ夢を見ただろう

決まってあの日の夢


消えてしまったあの日の

それは、俺がまだ悔いてる証なんだろうか
















「夢を見てた」
「夢?」
「うん。懐かしい…夢」
「聞いてもいい?」




恐る恐る聞くあかりの頭を
腕を回して引き寄せた















「佐為の夢…見てた」
「悲しかったの?」




こぼれた滴を、あかりは受け止めてくれた
















「あいつ、いつも笑ってるんだ」
「うん」
「俺のせいで…
俺がわがままばっかり言うから…
あいつ、消えてしまったのに」





夢の中の佐為はいつも

ただ何も言わずに笑ってるだけなんだ


俺に言いたいこと、たくさんあるはずなのに




文句だって
わがままだって聞いてやる


もう一度、現れてくれるなら


だけどそれは、叶わぬ願い


他でもない俺が、一番わかってる















「何を言われたって仕方のないこと、たくさんしたのに」




消えるわけがないと
高をくくってた

叫んだ声さえ届かなくて

最後の声さえ掻き消した



大切だと気づいた時には
いなくなってしまった姿


何度も追い求めて


求めれば求めるほど

会えない現実に突き当たった
















「佐為さんがヒカルの夢で笑ってるのは、ヒカルのこと大好きだからだよ」




頭をなでて
顔を上げた俺の前で笑ってた


まるで佐為のように


包み込んでくれる
俺のわかままを全部


だから不安になる

いつか














「あかりも…」
「え?」




俺の前からいなくなってしまうんじゃないかって


大切に思えば思うほど



突然また、いなくなってしまったら
怖い

もうなくしたくない



いつか

いつかあかりも…

消えてしまうんじゃないかって…

そんな不安ばかり

















「大丈夫だよ、ヒカル」





不意に感じた温かさ
















「あたしは、いなくなったりしないよ」
「でも…」




佐為だって

俺がどんなに願っても
















「あたしは、いなくなったりしない。絶対」





こぼれる滴に、温かいキスが降る
















「ヒカルのそばにいたいから…」





あかりに伝わる滴
















「泣くなよ」
「泣いてないもん…」




お返しにキスを一つ



誰より優しい君だから
そばにいることを望む


いつか消えてしまう

そんな不安を抱いては癒される






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恋人設定なひかりで『いつか消えてしまう・・・・・・』です。
あかりちゃんお誕生日企画でお借りした、「WJ書きさんにお題」の続きです。
やっぱり佐為が絡むと切なくなるので、あまり描きたくないんですが(ぇ)
進藤さんの懺悔の心を描くのは、一番悲しくなります。
原作で佐為が消えるシーンを読んで、泣いたのは姫さんですから(笑)

今も夢に見るほど、悔いているけど、佐為はそんなこと望んでなくて
それをあかりちゃんは伝えたくて。
大切な人をなくしてしまう悲しみを二度と味わうことのないように。
大事に大事に。そう誓う進藤さんなのです。


読んでくださって、ありがとうございました。




音羽桜姫。





お題提供サイト⇔WJモノかきさんへのお題


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