逃せないチャンス
















次会う約束


















「あれー?おかしいなー」






思わず出てしまった独り言


いけないと
慌てて口をふさいだ


それから息を潜めて
空を見上げて











「はぁ…」





極め付けは、大きな溜め息














「どっちに行けばいいのぉ?」



もう、途方にくれちゃう







友達と、待ち合わせをしたの


高校でできたお友達




一回遊びに行って、道を覚えたつもりだった


だけど覚えてたのは
部分的な配置だけ


















「確か、コンビニを右折…」




コンビニは覚えてたの

だけど、目につく場所にコンビニは
ナイ















「どうしよう…」






迎えに来てもらえば良かったのに

「大丈夫、覚えてるから!」

そう言って断った
だって自信あったんだもん




今になって
断っちゃったことを、激しく後悔する



せめて
コンビニまで行けば、間違いなく行ける

のに




これ以上彷徨ってみても
もっと迷路に入り込みそうで

電話して、本人に聞けばいいのに
やっかいなプライドが意地を張る


















「誰かに聞いた方がいいよね」





それしかない

あたしは駅に戻った







お友達の家は、棋院のある駅で降りる


行く時に前を通って

引き戻るのに、また前を通った
ヘタしなくても
今日は4回も通ることになる


棋院までは、しっかり覚えてたあたし

ちゃっかりしてる




















「あれ、あかり?」
「え?」




不意に聞こえた声に、あたしは顔を上げた


















「ヒカル…」
「やっぱあかりだった
何か久しぶりに顔みたな」





意地悪っぽい顔して笑うヒカル



ほんと久しぶり

















「何してんだ?」
「あ、えっと…お友達のとこに行く途中で…」
「ふーん」
「ヒカルは?今からお仕事?」
「まぁ…一応仕事かな」






ヒカルはあたしの好きな人
片思い歴は

長い





ヒカルは高校に行かないで、お仕事してる



囲碁のプロ




中学の時
暇を見つけて、ヒカルに指導碁打ってもらおうって
押しかけた


だって
待ってるだけじゃ、何も進まない

















「そうなんだ…」
「うん」
「…」
「…」
「ひょっとして」
「え?」
「ひょっとしなくても、迷ってる?」
「ちっ違うよ!」
「強がんなって!お前、昔から方向音痴だもんな」
「そんなことないもん!」






久しぶりにあったのに
ヒカルは失礼なことを言う



そんなとこも、ヒカルらしい

















「どこまで行くんだ?」
「○○町…途中、コンビニまで行けばわかるんだけど…」






迷ったこと、自白しちゃったよ



















「時間あるし、送ってってやろうか?」
「え?」
「駅まで戻って行くより、早いだろ?」
「でも…」
「偶然でも会えたんだから、甘えとけ」
「…うん」





ウソみたい

会えただけじゃなくて
またヒカルの隣を歩けるなんて


















「コンビニって、ロー○ン?」
「うん」
「こっちか」





歩き出したヒカルの後を追いかけた

















「早く来いよ」
「うん…」





歩幅を合わせてくれるのが嬉しかった

あの頃と変わらない距離

隣より少し後ろの距離


きっと誰よりもヒカルの近くを
あたしが歩ける距離

















「ここだろ?」
「ありがと」





あっというまに着いちゃった

ヒカルが道に慣れてるから?
あたしが、幸せだと思ったから?


















「助かっちゃった。ほんとにありがと」
「ああ」
「お仕事、頑張ってね」
「ん。」






ヒカルに背中を向けるのが惜しくて
あたしは、ヒカルが行くのを待った
お別れはいつもヒカルから


あたしはもっと
ヒカルといたい

















「行かないのか?」
「ヒカルこそ」





ヒカルも待ってる

あたしも待ってる




ここから動きたくない



















「あのさ、帰りまた、ここで待ってるから」
「え?」





動いたのはヒカル



















「帰り、また迷うといけないだろ?」
「…」
「だから、待っててやるよ」
「…ヒカル」







チャンスは突然やってくるの

待ってるだけじゃ
チャンスは来ない


そんなの
ウソになる時だってある



思いがけず訪れてくれるチャンスも


必ずある
















「じゃあ、お願いしてもいいかな?」
「ああ。帰る時、メールして」
「うん」






逃せないチャンスがある


それはあなたがくれたもの


今度はねぇ
あたしが勇気だして
そのチャンス作るから


叶えてくれる?






*******************************************************************************************

ここから少し、企画内容が変わります。学パラは終了で、これからは各作品ページにUPとなります。
同じお題がいくつかあります、二つのカップリングの違いを比べてみるとおもしろいかもです(ぇ)

一番初めは、恋人未満なひかりから。このお話、続きが描きたくて仕方ありません。
というか、進藤さん視点でお話を描いて、続きっぽくしたいのです。出来たらUPしますよー。
「また会う約束」お互い、思う事は同じなのです、だっていつでも会っていたいから。
恋人未満だけどらぶらぶvv幼なじみバンザイーっ!





音羽桜姫





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送