しなやかに静かな音を立てて














ページを捲る指


















久々に行った学校は
何だか居心地の悪い雰囲気だった


終わった授業
大きくあくびをして、下校準備

っつっても、教科書も置いてってるし
学生カバンも持ってない

学生らしくない学生だな






(さー、帰るかなー)




ここにいたって何だし
さっさと帰って、棋譜でも並べるかな




学校はいつの間にか
俺には居心地の悪い場所になっていたんだ



せめて残りの学校生活


何も残せなくてもいいから
やり遂げたいと思った






それにしても眠い

そういや明日、指導碁あるんだっけ






ふと、ある教室の前を通った時に見つけた
幼なじみの顔


立ち止まってみた





何かノートを広げてる


勉強してるんだろうな



















「あかり」





呼ぶつもりなんてなかったのに

無意識


なぜか声をかけてしまった


















「ヒカル!」




俺を見つけたあかりが
目を合わせて笑った














「何してんだ?」




当たり前のことを聞く




何だろう


引き止めておきたかったのかもしれない


















「受験勉強だよー」
「学生は大変だな」
「ヒカルだって、まだ学生でしょ?」
「一応な」





そう返した俺に
あかりは変わらない顔で笑った
















「ヒカルは今日、学校に来てたんだね」
「ああ」














『会いたかったから』


『誰に?』


















「今から帰るの?」
「あ…ああ」
「そっかぁ。いいなぁ」
「あかりも帰ればいいじゃん」
「ここの方が、集中できるの」
「ふーん」





あかりはペンを滑らせる



って俺


















「邪魔か?」
「え?」
「聞かなくてもいいことか」






集中できなくなるよな

俺がいたら
















「ううん!ここにいて」





期待を裏切るあかりの返事


いつもそうだ

あかりはいつも
俺を落ち着かなくさせる




















「んじゃさ、帰り…送ってやるよ」





俺なら大丈夫だろ

















「うん…ありがと…」
「別にー」




女扱いとか
そんなんじゃないって言い聞かせる



















「なるべく早く帰るようにする!」
「ん。」






あかりにつられて、俺も笑う






しばらくすると
あかりは教科書とにらめっこを始めた



俺が勉強できりゃ、教えてやることもできるけど

あいにく俺は
そっちはまったくと言っていいほど
さっぱりだ
















「えっと…」




なんて言いながら
教科書を静かにめくっていく





そのしぐさに
思わず見入ってしまった




細くて白い、あかりの指



触れたら柔らかそうな




触れたら







『触れたい』








今、何考えた!?



あかり相手に!




やばい


このままじゃ


声をかけた時みたいに
無意識に触れそうな自分に気付いた



















「これ終わったら帰ろうね!」
「…ああ」





我慢しなくちゃ


あかりは俺を信じてるから

俺だってまだ
あかりを怖がらせたくない



生き地獄…



生殺し…?





耐え抜いた放課後









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ひかりで1周年企画。CP向けに10のお題『ページを捲る指』非常に微妙です、はい(あせ;)
言い訳させていただきますと、ページを捲る指にどきどきしてしまったと・・・それだけです(あわわ:)
進藤さんが戦ってるのが描きたかったのです。ちょっと違うしぐさに気づくと、何故かどきどきしますよ・・・ね?(ぇ
思春期な進藤さんが好きです。無意識でお誘いなあかりちゃんが好きです(ヤメ)
付き合う前のどきどき感や、触れたくても触れられないっていう、葛藤を描くのが大好きです!(鬼か←笑)





音羽桜姫






お題配布サイトさま→CP向けに10のお題⇔『ひまつぶし。』




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