静かな夜も更ける頃。

部屋に差し込む月明かりの明るさに、うっすらとC.C.は目を開けた。


目を細めて月光を浴びると、不意に人の起きている気配を感じて。
まだぼんやりとする頭で、その影を捉えた。

この小さな部屋という世界の中で、彼女以外を探すのは簡単なこと。

『誰か』を探索するまでもなく、お互いを共犯者だと表す彼だとわかる。















「ルルーシュ。まだ起きていたのか」






体をゆっくりとベッドの上で起こし、その影に向かって声をかけると
ルルーシュはゆっくりとC.C.のいる方に向き直り、逆光から笑みを見せる。

その視線はすぐに窓の外へと移り、声が少し遠くなる。















「いや、目が覚めただけだ。起こしてしまった、か」
「気にするな」






短い会話を交わし、窓際に立つルルーシュを、月明かりが照らす。




キレイだ。



その姿を見て、そう思ってしまう。


儚げな光が似合う男だと。






ああ、わたしは。こんなに美しい男を知らない。





C.C.は、目を細めた。

はっきりと焼き付けておこうとも思う。



ルルーシュにただ一点の視線を送り、C.C.は彼に近づく。

















「キレイな月だな」
「ああ」







この月を見て、お前は何を思うのだろう。


『共犯者』という、言葉一つの関係。

深入りは出来ない。
しようとも思わない。

なのに何故。



慣れない気持ちが渦巻くのだろう。

















「眠れないのか?」
「バカを言え」










不適に笑う彼は、弱さなど微塵も感じさせない。




本当は抱えている不安など、数え切れないあるだろうに。


















「わたしの前でだけは、強がらなくていい。吐き出したいことがあるのなら、素直に言っておけ」








こんな言葉しかかけれない。

優しさの欠片など、知らない。



気にかけるのも、目的を果たすための義務。


共犯者を気遣う。
という利害の一致である当たり前の行動。



そこにいつの間にか、違和感を覚えるようになっただなんて。

こんな感情はありえない。


いつのまに、こんな。
必要以上の気持ちを抱くようになってしまったのだろう。

















「言いたいこと、か」
「ああ」
「そうだな。いくら自由とは言え、その格好でうろつくのはやめてくれ」











苦笑を浮かべたルルーシュ。


聞きたいことは、そんな言葉じゃない。




けれど、言うつもりはないのなら、黙ってそばにいよう。

笑っていられるのなら、それでいい。















「構うな。どうせお前しかいないんだ」
「その考えもどうなんだ」
「何かあるなんて、それこそありえないだろう?」
「俺が男だということを忘れていないか」
「お前にそんな甲斐性はない」
「…」











言葉では勝てない。


ルルーシュはそう判断し、黙り込む。




C.C.は口元に微かな笑みを浮かべ、ルルーシュを見つめる。


















「何だ」
「いいや。何でもない」








穏やかな表情。

いつしか、警戒など忘れていた。



ただそばにいる。
目的のため。


そんな言葉が、なくなってしまえばいい。


それでもお互い、お互いを求めることを、心のどこかで認めている。


















「日が昇るまで、まだ時間がある。少し眠れ」
「そうだな」








近づきたい。
近づけない。


微妙な距離。



少し動かせば、指先は触れる。
そんな距離。

だから、といえば、答えはない。

















「お休み、ルルーシュ」









耳に響く、心地よい声に、ルルーシュはそっと目を閉じた。

ベッドへと戻ろうとするC.C.の腕を引きとめ。
振り返りざま見つめあう。




















「何だ」
「…」
「まさか、一人じゃ眠れない。などと言うんじゃないだろうな」
「…そんなわけ」







彼女を前に、たまに渦巻く感情の名前。

触れたいと想う事。

それがもたらす答え



















「それはお前じゃないのか」










一人で眠れないわけじゃない。

ただ、眠りたくない夜があることは、嘘はつけない



苦し紛れに、彼女のせいにしてみれば。



















「そうだな。一人では眠れそうにない」









淡々と交わされる会話。


本音を見せ合えるほど、近い二人ではないけれど。


















「一緒に寝よう。ルルーシュ」









甘い声が誘う。

二人、そっと差し出した手は繋がれて。


寄り添うように目を閉じた。









傷の舐め合いがしたいわけじゃない。

救ってほしいわけじゃない。

手放せないわけじゃない。


まして、君がいないと生きていけない。
なんて。

そんな甘いものじゃない。


けれど。



孤独を恐れ、それでも前に進む強さをもったお前を。


                                共にあると、いつの日か涙を流したお前を。



                    愛しい、と思うようになったのだろう。




       わたしはこの男を。
                                        俺はこの女を。



                     愛しすぎてしまった。




故に触れられない。
故に。

近づけない距離を持つ










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まさに、二人のためにあるお題!と思って借りてきたのですが。
せっかくの素敵お題を、まったく生かせていないというアイタタっぷりがイタイです(あわわ;)
大好きルルシー。共犯者コンビ。ついに手を出してしまいました。
記念すべき1作目であります。

ルルシーは、恋のような感情がありでもなしでも、どっちでもいい関係だと思います。
何がいいたいかと言いますと、そんなもの関係なく
ただお互いが大切で思いあっていればいいと。それだけなのです。
言葉で言い表すことの出来ない関係。不明なこと言ってますが
私の中のルルシーは、そうであるといいと思っています。

シーちゃんはあまりお外に出してもらえないので、室内での二人の会話がメインになっていくと思われます。
ゆっくりのんびり。ルルシーを堪能していこうと思ってます。



 

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