とどまることの知らない想いを。
君に伝える術を捜し求めて。







息すら吐けぬほどの愛を













「作戦は明日決行する。ヘマはするなよ」
「誰に向かって言っているんだ?」





黒の騎士団本部にて。

ルルーシュはゼロの仮面をまとい、C.C.はその後ろを歩く。
ゼロの言葉に、不快な声と返答を返しながら。















「ツメが甘いのは、私よりもお前の方だろう」
「…」







思い当たる一言に、ゼロ。もといルルーシュは黙り、
C.C.の反撃は止まらない。















「今回の作戦も、大丈夫なんだろうな。
 私がいくらうまくやろうとも、お前の作戦に穴があれば、失敗することも考え…」







何も言わず、ただC.C.の言葉を流すように聞いていたルルーシュの足が、急にぴたりと止まった。

突然のことに、C.C.はその背中で鼻を打ってしまう。
















「…急に立ち止まるな」
「…」








ルルーシュよりも若干背の低いC.C.には、その前が見えない。

見えるのは、体力のなさを物語る、細い背中だけ。

















「おい、聞いているのか?」
「あ、ああ」








短い曖昧な返事が返ってきただけで。

振り返りもせず、ただ、一点のみに集中しているように見えるその視線。


肩越しから見えるのは仮面だけ。


その表情は窺い知れない。

















「何だ。何かあるのか」









ルルーシュが固まったように動かないその様子に、興味をあおられたC.C.は、
ルルーシュの後ろからひょっこりと顔をのぞかせ、
見えなかった前方を確認した。











「あ。」







驚きとも取れる、小さな声が漏れる。



二人の目の前。
隠れるようにして、深いキスを交わす二人。
















「…」








言葉もなく、ただ視線は二人に釘付けで。


想い合っている男女であるならば、
さほどおかしくもない、当然の行為。

テレビなどで見たことがあるとはいえ、実際目にすると、どうしていいかわからなくなる。

ルルーシュは、踊りまくる心臓を落ち着けるのに精一杯で、言葉を無くしていた。



そんなルルーシュの態度に気付いたのか、ただの興味なのか。

C.C.は覗き込むようにして、下から視線を送る。




ルルーシュは、刺さるような視線が自分を見つめているのに気が付き、
勤めて冷たい声で言い放つ。

















「何だ」
「いや。どんな顔をしているのだろうと、気になってだな」
「余計なことは気にするな」








食い下がるものかと、じっと目線を上にやるも、やはり見えるのは、仮面だけ。


















「あれを見て何も感じないとは。つまらない男だな」
「何も言ってないだろう。もういい、早く戻るぞ」
「立ち止まったのはお前の方だろう」
「うるさい」








自分に分がないとわかると、話を終わらせる、いつもお決まりのセリフ。


これ以上何を言っても、反応は返ってこないだろう。




ルルーシュをからかうことに、少しの楽しさを感じてしまうC.Cとしては、面白くもなんともない。

しゃべる体力を使うだけ。








(つまらんな)

と心の中で呟いて、またルルーシュの後ろを歩き出した。


それからは、ツカツカと音を立てて、無言で歩き続けるだけ。


その沈黙がなんとも重く感じて、ゼロの自室に戻る時には、ちょっとした疲れも感じていた。








プシュ、と音を立て、開いた扉。

ルルーシュがまず一歩。
続いてC.Cが一歩足を踏み入れると、

同じ音を立てて、開いた扉は閉まった。


















「…」
「…」










未だ黙ったままの二人。

ふさぎこむ理由で思い出されるのは、たった1つ。

先ほどの光景。






何処か気まずさがあるのか、ルルーシュはそこから動かない。


じれったさを感じたC.Cは、ルルーシュよりも一歩先に足を踏み出し、
少し差のあるその前に立つ。


















「…」








ゆっくりとその仮面に手をかけ、はずそうとしたその手を、
ルルーシュの手が拒む。
















「おい、やめろ。それくらい自分で…」
「良いから。大人しくしていろ」
「し…っ」








名前を刻もうとしたその唇は、C.Cによりはずされた仮面から、光にさらされる。



















「勝手なことを…」
「…」









ルルーシュの頬は、微かに朱色に染められ。

C.Cから視線を逸らし、あえて合わせないようにしているように見える。



















「随分顔が赤いようだが?熱でもあるのか?」
「あるわけないだろう」
「では先ほどの二人を見て、恥ずかしくでもなったのか?」
「…っ」









図星を付かれたからなのか、あからさまに反応したルルーシュに、
C.Cは悪戯心を芽生えさせる。





















「あれくらい…どれほどのことでもないだろう」
「…」
「何だ。お前も以外に子供なんだな。」
「何…っ」
「あ、童貞坊やなら当たり前の反応か」








ルルーシュを挑発するように、神経を逆撫でするような言葉を紡ぐ。


















「したことはあるくせに、見るのがダメだとは…なんともお前らしい」
「どういう意味だ」
「そのままの意味だよ。したことがあるだろう?男女のキスを。」









言われた言葉に、ルルーシュは過去を思い出す。



















「あ、あれは…」
「唇を合わせれば、どれだけ違うと言えども、効果はないな」










からかい続けるC.Cに、ルルーシュは少しずつ、頭に血が上るのを感じていた。


何かを期待しているのだろうか。

やけにつっかかるその様は、まるで彼氏の素性を気にする彼女のようで。


















「恋仲ならば、あれくらいのことは当たり前だろうな」









そう何処か、楽しそうな声で言い放って、見慣れた拘束服を脱ぎだす。


いつもいつも。
何度注意しても直らないその行為。



いっそのこと、思い知らせてあげようか。





考えるルルーシュを振り返り。


いつもの不敵な笑みで、最後の一言。




















「お前にはまあ、無理だろうな」









届いた瞬間。何かが音を立てて弾けた。


足早に歩き、C.Cの細い腕を、力を込めて握る。




















「…っ!?」






そのまま壁に押し付けると、視線は知らず絡み合う。

















「…痛い。何だ」








抗議の声など、遠くでしか聞こえない。


どくん、どくん。
心臓がうるさい。
その音しか聞こえない。


目の前の存在に、聞こえてしまいそうな距離。

















「試してみるか?」







思ったよりもかすれてしまった声。
C.Cの元に届いたのは、熱っぽい、ルルーシュらしからぬ声。


今、目の前にいるのは、ルルーシュという男だと
初めて。いや、改めて理解する。
















「気でも狂ったか?」
「いや。正気だよ」






合図はそれで十分。

ゆっくりと顔を近づけ、軽く唇に触れた。


















「…」








至近距離で彼女の瞳を覗き込めば、そればただの女でしかなくて。



(ああ、もう止められない)


そう思った。
















「無理かどうか。ゆっくり教えてやる」







何も言わないC.Cの腕を強引に引き、抱き上げ。
ベッドの上へと落とす。


そこへ覆い被さり、今度はしっかりと、短いキスを一つ。

















「お若いものだな」








ニヤリという音が聞こえそうに笑うC.Cへ、挑戦的な笑みを返して。

皮肉さえも、今は君に溺れている理由にさせて


















「うるさい。悪いのはお前だ」






言ったあと、彼女からの言葉を一切受け付けないように、キスを繰り返した。
















「…んっ」







微かにもれた吐息


塞がれた唇が酸素を求め、欲しがる。


それすらも許す隙を与えず、貪るようにキスをする。



そこに愛の言葉は一切なく、あるのはただ、行為だけ。







言葉にはしないで。壊れてしまうから。


息も出来ぬほどの愛を、唇で囁く











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5つ目にして、ようやく少し甘い雰囲気が漂ってきました。
4つ目まではなんと言いますか…
共犯者という壁を乗り越えないように、必死になる二人で。
ここからは、ちょっと甘い二人にはる…はずです(えぇ)

たまにはルルを強気にさせてあげようと思ったら、ありえないルルが出来上がりました(笑)
たまには…そう。たまにはいいですよ…ね?(にこっv)
最後のちゅーのシーンは、どうしようか迷ったのですが、やめておきました。
うまくまとめられそうになかったので(!?)

ありえないシチュエーションにありえない二人ですが(汗;)
共犯者愛だけは詰め込みました。
言い訳して、逃げておきます(ストップ!)






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