過ごす日常と特別な日






Another Day






恒例の
俺の手合い帰りと、あかりの学校帰りのデート




時間が合わないから会えないんじゃなくて
最近は、会える状況を作れるように
気をつけてる


ほっとくとあかりは危険だから

あかりの友達がこっそり教えてくれた


「あかりはもてるんだよ」








あかりの可愛さは、どんな人も認めるほどで

だけどあかりは俺のもので


よくドラマにあるだろ?
寂しい時に優しくされて
そいつのこと好きになるとかってパターン

あかりに限って、そんなことはない

ないと思ってるんだけど
気にはなるのが男心ってもんで

でもって
制服姿のあかりに向けられる視線が気になるのも
上から少し見える肌が綺麗なのが気になるのも
男心ってもんで



何か話ずれてんだけど






「ヒカル?」






考え出したら止まらなくて
あかりの声に我に返る
あかりは不思議そうな顔で俺の前に立ち
下から少し上目遣いでのぞきこむ

いい角度なんだけど
勘弁してほしいとも思ってしまうわけで





「どうしたの?」
「何が?」
「何か心配ごとでもあるの?」
「別にないけど、何で?」
「さっきから、難しそうな顔してるから…」





心配ごと

ないって言ったら嘘
あるって言った方が正しいけど


はっきり言うと、あかり怒るから言わない











「何もないならいいけど…」
「なんもない、なんもない」




しばらくすれば落ち着くし





気にしたら負けってことで






「そうだ!」






突然、思い出したように大声をだしたあかりに
俺の心臓がはねあがった



別に、いかがわしいこと考えてたりなんかしてない
してないんだけど

見抜かれたようで

ばれちゃマズイことを考えてもいないけど


何も考えられない?





「ごめんね、驚かして」





あかりは悪くないし
俺の頭の中が悪いってだけで

あかりを意識しすぎなんだよな


普通にしなきゃ






「で?何?」






精一杯の平常心を装って







「あのね、20日なんだけど…」
「20日?いつの?」
「今月の!」
「今月のって言ったら、明後日じゃん」
「うん。あけといてもらえないかなぁ?」





えらくまた急な






「ほんとは、もっと早く言えると良かったんだけど…」






久々だもんな、会うの






「手合い、入ってるんだ」
「そっかー…
じゃあ仕方ないかな
お仕事優先だよね」


あかりが寂しそうな顔をしたの
俺が見逃さないはずはなく




手合いはあるけど
休めないけど






「午後からでもいいかな?」






会える機会を減らして
あかりに寂しい顔はさせたくない

会っていたいのは、俺なんだから






「午前中で手合い終わるし
その後でも」






あかりに会えるなら





「いいの?」
「何で?」
「疲れてない?」






あかりは気付いてない

こうしてあかりに会うことが
次への活力になること


こう言っちゃ何だけど
あかりは俺だけの栄養剤






「何エンリョしてんの?」
「だって…」
「俺が会いたいって言っても?」





我ながら恥ずかしいこと言ってると思うけど






「ううん…嬉しい…!」






あかりが笑ってくれるから







「でも何で20日?」
「え?」
「何かあるのか?」





あかりが日にちを指定するなんて
めずらしいこと

いつもは
「会える時に会えればいい」
って




思い当たらない俺の質問に
あかりは目をパチパチさせる






「覚えて…ないんだ?」





何だ
何かの記念日か?
あかりの誕生日は5月だし






「…何?」







あかりを見ると、くすくす笑ってた






「何があるんだ?」
「覚えてないんでしょ?秘密v」






余計気になるっつの





「当日のお楽しみねv」







こうなるとあかりは、是が非でも吐かない






まぁ
悪い日ではないだろうし…
気にすることはない…よな?













20日












今日が何の日なのか
気にしないまま気にしつつ


あかりのあの意味深な笑顔を思い出しつつ


俺はいつもどおり、自分の仕事場に向かう













後から和谷の姿を見つけて





「おーっす!」





背中を思い切り叩いて挨拶をする










「痛いって」
「ごめんごめん」






今日は和谷も手合い日か
















「お前、今日誕生日だろ」
「へ?」
「オメデトウ」









誕生日って
誰の?



俺の!?


俺って今日誕生日だったのか!
















「今日って9月20日・・・?」
「は?お前何言ってんの?」









あかりが今日あけてほしいって言ったのは
俺の誕生日だからで

つまりは、祝ってくれるってことで






俺ってバカ

自分の誕生日、忘れてるよ















「親切にプレゼントなんて用意してないからなー
オメデトウだけ言っとくよ」









お前に言われても嬉しくねぇよ









何で今日が手合いなんだ





手合いさえなきゃ、朝からあかりに会って

一番にその言葉をもらえたかもしれないのに







神様なんて信じてないけど

この日ほど、その存在を憎らしく思ったのは言うまでもなくて














「せっかくの誕生日に手合いなんてかわいそうだなー」






そんな同情いらねぇやい!














「手合いが終わったら、あかりちゃんと会うんだろ?」
「会うけど・・・」






ちょっと大きなお世話















「せいぜい早く終わること、祈っといてやるよ」









今日はやけにかかってくるじゃねぇか






何が何でも早く終わらせてやる



俺が本気さえ出せば、塔矢以外に怖いものなんてないんだぜ






















のはずだったのに


















手合いは早く終わったのに

対局相手が検討を始めやがった



俺は早く帰りたいんだって



何だってこんな時ばっかり、こうもタイミングが悪いんだよ






あかりとの待ち合わせ、10分も過ぎてる


もっと遅い時間、指定しとけばよかった

後悔しても遅いけど









ああもう
何でもいいから早く終わってくれ



こんな日にまで遅刻かよ、俺





















「ありがとうございましたっ!」








やっと相手が納得してくれて


俺は出せる限りのスピードで棋院をあとにする







あかりがまだいてくれることだけを願って




















待ち合わせ場所に着くと、あかりはまだいてくれて






少しスピードを落として近づくと

あかりは俺に気がついた









「遅かったね」





笑顔なのは、やっぱり誕生日だからなんだろうか

いつもなら怒って、最初は口、聞いてくれないのに















「あの、俺・・・っ」







何て謝ったらいいんだろう



俺の誕生日覚えててくれて

こうして会ってくれて


待っていてくれて










「手合いが長引いて・・・っ」
「・・・」
「対局相手が帰してくれなくて・・・っ」






こんな言い訳、したいわけじゃないのに












だけど、あかりの態度は穏やかなもので

















「何慌ててるの?あたし別に、怒ってないよ?」





くすくすと笑い始める














「お仕事だもん、仕方ないよ」
「あかり・・・」
「それにね、来てくれただけで充分」







こんな勝手な俺を
あかりは許してくれる




あかりがそばにいてくれて

俺は幸せだ












「ヒカルの大切な日に、一緒に過ごせることが出来て、嬉しい」









俺、あかりで良かった


って、心から思った














「それで?今日何の日か思い出した?」






今日は・・・














「・・・ああ」
「そっか、じゃあ・・・はい」








あかりから手渡された小包














「こんなとこで渡すのもなんだけど・・・」





苦笑しながら













「お誕生日おめでとう」











その言葉

やっぱりあかりから一番最初に聞きたかった















「俺、ほしいものあるんだけど・・・」
「何?」





俺がほしいのは一つだけ




あかりからもらったものは、それだけで大切だけど














あかりにしかもらえないものがほしい

俺のものだって証







その頬にキスをした














「・・・ヒカ・・・っ」
「プレゼント、受け取ったぜ♪」
「人前ではダメだって言ってるのに・・・」
「今日はトクベツ・・・だろ?」
「・・・もう・・・っ///」













いつもと違う誕生日

あかりがいてくれる





最高のプレゼントだ















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進藤さんー!お誕生日おめでとうなのですー!
はぴばすでー企画第1弾。お誕生日ネタでございます。

待ちぼうけ食わされて、いつもは怒るあかりちゃん。
今日はトクベツな日なので、怒りませんでした(笑)
甘えんぼっぽい進藤さんになりました。
プレゼントがキスって、何かベタですみません。
ちなみにあかりちゃんがあげたプレゼントは、携帯のストラップだったりします。
進藤さん、シンプルなもらいものとかしかつけなさそうなので。
おそろいだったりしますv
「これでいつも一緒だねv」
何て可愛いことを言って、進藤さんに・・・(げふげふ)
すみません、自制します。

1週間後からは、お題を借りて企画を始めたいと思っていますので。
『ひかりでいっぱい!胸いっぱい!祭v』同様、どうぞよろしくお願いしますv(ぺこり)





2004.09.20 音羽桜姫。






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