「あかりー!」











幼なじみに呼ばれて
あたしは振り返った












ヒカルが駆けてくる














「ろうかは走っちゃいけません」
「カタイこと言うなよ」
「…もぅ」






















いつからかな
ヒカルに名前を呼ばれるたびに
普通じゃなくなるあたしの心臓






話しかけてくれること
いつも嬉しいのに
























「何か用?」





つっぱねた言葉ばかり出てきちゃう










「何か用って…最近何か、冷たくない?」
「気のせいだよ」









ほんとはウソ
自分でも冷たいなーって思う
だけど
普通に出来ないんだもん



まだ、この気持ちに気付きたくない


















「まぁ、いいや」












冷たくされても
ヒカルの態度はいつもどおり















「今日さ、一緒に帰らねぇ?」
「え?」
「相談に乗ってほしいことがあるんだ」
「恋の話?」
「ばーか。違ぇよ」
「じゃあ何?」
「女じゃないとわかんないかなーってさ」














一応、女の子とは思ってくれてるんだね











「恋の悩み?」
「うーん。まぁそんなとこかな」













ズキンって

心の中が音を立てる




だけど























「うん、いいよ」
「助かる。終わったら迎えに行っていい?」
「ん。じゃあ。待ってるよ」














すごく気になったけど


ヒカルが恋の悩みだなんて



こんなとき、幼なじみって残酷ね

















「あの・・・っ進藤くん・・・」












ヒカルの名前を呼ぶ細い声



あたしたちは同時に振り向いた




そこにいたのは、おとなしそうな女の子

























「えーと・・・」
「あの・・・お話が・・・」














このパターンはあれよね





そんなシーン
見たくない





















「じゃあ、あたし教室戻るから」
「あ、うん」













ヒカルとも、その女の子とも目を合わせないようにして



あたしは足早に教室に向かった











気にしたくなくて

でも気になって


逃げた自分に自己嫌悪
























6時間の授業を終えて、ヒカルは本当に迎えに来た















「あかり、帰ろうぜ」
「うん」




















約束したから、ヒカルと一緒に帰る





ただ
それだけ







ヒカルにとっても
ただ相談があるから、一緒に帰る


ただ
それだけのこと
















それが、どんなに嬉しいことなのか
あたし以外はわからない













ヒカルの言ってた相談が
たとえあたしには辛いことだとしても



















相談よりも何よりも

今一番気になるのは


























「今日の女の子、何だった?」
「今日の?ああ…」














気になって仕方なかった
だって
気付いてしまったから







好きだってことに
気付きたくなかった


このまま黙っていようって決めた


きっと楽だから
そばにいられるから














「何?気になる?」
「うん」
「好きだって言われた」












やっぱり
















「…返事…した?」
「ああ。断りました」
「…もったいない」
「何で?言ったろ?好きな人いるって」
「…うん」
「ウソ付いてまで、付き合おうと思わない」
「どんなに可愛くていい子でも?」
「でも」
「ふーん」


















そんなヒカルの、真っ直ぐなとこも
いいなーって思った







気付いたら、何もかもが素敵に見えるのね
不思議






















「何か、元気ない?」
「そんなことないよ」
「笑ってないし」











付き合いが長いだけあるね
ヒカルにはいつも
見透かされてばっかり
















「何か悩みがあんなら、言えよ」












その原因がヒカルだって
しぐさには気付いても
中まではわからないのね
























「ヒカルの好きな人が気になって」
「はぁ?」












幼なじみとしてじゃなく
ヒカルを好きな女の子として
















「何だよ。あかりひょっとして、俺のこと好きなわけ?」













言われた瞬間
あたしの中の時間は止まった












冗談で言ってるんだよね?










もしそうだって言ったら、ヒカル
驚くかな













言うつもりなかった
言わないって
さっき決めたばっかりなのに






止まらない



























「わかんないけど…」
「何だそれ」
「………しれない」
「え?」
「あたしヒカルのこと…」














『好きかもしれない』
















だって、こんなにどきどきするんだもん
前よりずっと






自分の中では認めてるけど





まだヒカルには、はっきり伝えない






あいまいだけど
咲いた気持ち




























「まじ…っすか?」










あたしは黙ってうなづく

























「あかり、俺の好きな人は…」










『お前だよ』













片思いは実らないって
きっとウソ







勇気次第で
恋はどうにかなるもの




たった一日であたしは
自分の気持ちと
ヒカルの気持ちを手にいれた















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自サイト企画・ひかり祭=恋言葉〜女の子編『好きかもしれない』です。
これを一番にもってきたのは、特に理由はないです、はい。
描き終わった順です。いい加減ですみません。結構アバウトな姫です。
自サイトひかり企画。ひかり祭ならぬ。告白大会祭。
いろんな告白パターンで。ひかりを祭ります!

進藤さんの相談事ですが、奈瀬ちゃんと伊角さんのことです。
伊角が告白するか悩んでて、「言っちゃったら、そばにいられないかもー」
なんてことを気にしていたので。
「近すぎて伝えられない」そんな気持ちを痛いほどわかる進藤さんは、ほっとけなかったようです。
結果、自分がハッピーエンドになってますが。
このあと、伊角さんもうまくいったと思われます。
スミナセ好きですが、あくまで当サイトはひかりメイン(笑)







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