こっそり残してみたの






どうしてもヒカルに伝えたくて


















誰よりも早く学校に来て
ヒカルの下駄箱に
そっと手紙を入れてみた




昨日

何度も何度も書き直した
あたしのヒカルへの気持ち










伝えようかどうしようか悩みに悩んで
結果







気持ちだけでも知ってもらいたい





そう思って
伝わるように手紙を書いた








ストレートに
「好きです」
って、ただ一言











それを下駄箱に隠してみたの






もちろん名前は
書いてない










まだ気付かれたくないから






この手紙の気持ちがあたしの気持ち
まだ秘密



























入れたはいいけど
ヒカルが今日、学校に来る保証は
ナイ

来なかったら、来るまでおあずけ






誰かに気付かれなければいいな

それだけを祈る








気付かれたくない
だけど知ってほしい
反対な恋心って、難しい

















時間ももう
みんなが登校してくる時間になった








静かだった教室が、にぎやかになっていく








ただあたしは、手紙のことが気が気じゃなくて




その日一日
とうやって過ごしたか覚えてない
















意識はあるんだけど
手紙に気付いたヒカルが
どんな反応をしたのかとか
気付いてなかったらどうしようとか



そんなことばっかり考えちゃって










こんな時は、ポジティブになんか、考えられない


臆病になるのが恋心














ヒカルを好きになって気がついた
恋をするのは、いろんな意味で体力を使う




だけど、会えたり声を聞けたら
吹き飛ぶくらい、幸せな気持ちになれるの






恋心って、複雑で単純だけど
好きだと思えることが幸せだって
教えてくれた








大切にした想い























「あかりー」









昼放課






扉の向こうからヒカルが呼ぶ
















「あれー?今日学校に来てたんだ」
「手合い休みだからさ」











何て普通にしてみたけど

もうどきどきしちゃって、顔が見れない

















「どうかした?」









手紙、気づいたかな






まさか、そのことで・・・



なんてことないよね



















「あ、うん。別に用はないんだけど・・・」
「え?」
「久しぶりに一緒に帰ろうかと思って・・・」










嬉しい


誘いに来てくれたの?














「うん、いいよ!」











ヒカルが学校にいる間だけでも

一緒にいられる時間を大切にしたいから












手紙のことは、今は気にしないことにしよう


名前は書いてないんだし
















「じゃあ、終わったら」
「うん」










約束して
ヒカルは教室に戻ってった













ヒカルと話するのに、こんなに緊張したの初めて





























「明日から進路相談なんだ」
「学生は大変だよなー」
「ヒカルもまだ学生でしょ?」
「あ、そうだった」










帰り道






ヒカルとどうでもいいことをお話しながら








だいぶ涼しくなった





ヒカルの学ラン姿

カッコイイ

















でも何だろう








手紙のこと

気づいてない?










何かあったようには・・・見えない






















「あのね、ヒカル」
「ん?」
「下駄箱の中、見た?」










思い切って聞いてみた














「下駄箱?見たけど」
「何か入ってなかった?」















こんなこと聞いたら、いくらヒカルでもわかっちゃうかな
















「何か…手紙。入ってた」
「手紙…」
「何で?」
「あ、何か友達が、ヒカルに手紙出したーみたいなこと言ってたから…」
「ふーん…」











ヘタな言い訳かな






ヒカルは封筒から手紙を取り出し
読み始めた
よりによって
あたしの前で





顔が赤くなるのがわかる
こんなに反応してたら、ばれちゃうよ














普通にしなきゃ




普通に…























「これ、あかりだろ?」






決め込んだ矢先




ヒカルの一言に
あたしの心臓は一瞬止まる















「なななな…っなん…で?」
「字でわかる」
「…え?」
「何年一緒にいると思ってんだよ」








それだけで分かってくれたの?


















「返事。手紙書いてきてもいい?」
「え?」
「うまく言えそうにないから」
「・・・なんで?」









不安になる



やっぱりダメなのかな




わかってたじゃない

そんなこと











だけどやっぱり寂しいよ







恋にはいつか終わりが来るって


まさかこんなに早いなんて


















「何不安になってんの?」
「別にそんな・・・」
「悪い返事じゃないから・・・」
「え?」
「安心してよ」
「ヒカ・・・」
「っていうのも、変だけど」










困ったような顔で笑う





それって
望みがあるってことだよね?

期待して待っててもいいのかな












次の日ヒカルから来た手紙は
同じように下駄箱に入ってた





一言


『俺も』


って







勇気だしてよかった







名前書いてなかったけど

すぐヒカルだってわかったよ







だって大好きだから






これでずっと一緒にいられるね










まだ口では伝えられないけど

ちゃんと言える日も、きっと来るはず













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自サイトひかり祭企画=恋言葉〜女の子編『下駄箱の中、見た?』です。
最後に出てくる進藤さんの手紙は、拍手のお礼SS『封筒』と、微妙にリンクしています。
進藤さんがくれた、たった1通の手紙。
あかりちゃんは今でも大切に持っています。

想いを伝えるのは、口でなくてもちゃんと届きます。
想いがこもっているから
伝えたい気持ちは、必ず届くものです。






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