切ないけど、大切にしたい気持ちがある






気づいてもらえないけど
どうしようもなく好きだけど
言えない言葉もある























「告白しないの?」




















友達に聞かれた


















「こっ告白っ!?」













その言葉の突然のインパクトに
あたしはうろたえる































「こ…告白って…告白って…
誰が…だ、誰に…?」
「誰にって…あかりちゃんが進藤に」

















あたしがヒカルに


























「出来ないよ…」
「何で?他の人からみたら、あなたたちすぐわかるわよ」
「わかるって?」
「両思いってコト」
















明日美ちゃんが、ウインクを一つ飛ばす
























「な、何で?」
「二人とも、分かりやすいもの」












良く言われるけど

そんなにわかりやすいのかな?



























「でもでも…っ
そんなのわかんないよ?」
「自分たちでは気付きにくいものなのよ」
「そんなこと言われても…」
























あたしはヒカルのこと
大好き
もう二年も、言えない気持ちを育ててきた








見てるだけでよかったの














そっとその夢を応援していられるだけで幸せだったの














でも
ヒカルがどんどん離れていくような感覚が
日に日に強くなって








伝えようって思ったこともあった

















だけどね




ヒカルにとってあたしの気持ちは

















大事な時だからこそ





































「邪魔じゃないかって思うの」
「え?」





















もっと強くなりたい
それが
ヒカルの一番の願い












いつかタイトルを取るんだって
わくわくしながら話すヒカルを











ずっと応援したいって思った













































「頑張ってるヒカルの重荷にだけは、なりたくないの」











夢を叶えてほしいから












その夢が叶った時
そばにいられたら嬉しい
















たとえそばにいられなくても
あたしはきっと
それでもヒカルを思っているから







































「〜っ」
「明日美ちゃん?」
「あかりちゃんっ!大好き!」
「…え?」




















どうしたの?急に…












































「可愛い!大好き!」
「あ…あの…?」
「なんてケナゲでいい子なのっ!」




















明日美ちゃん
おかしくなっちゃった?














「あたしが男だったら、絶対ほっとかない!」
「あ…ありがと」
















何か恥ずかしいな
















あたしそんなに
褒めてもらえるような女の子じゃない































「でも、それだけじゃないでしょ?」
「え?」
「進藤に伝えられない理由」

















見透かされてる?


















ヒカルとは、ずっと幼なじみだった









今更、恋心を抱いても
どうやって接したらいいのかわからない















きまづくなるくらいなら
今のままが…









これが一番の本音かもしれない






















「でもさ、そんなにガマンすることないんじゃないかな?」
「え?」
「あたしは、恋する女の子の味方」























そっか
明日美ちゃんも




















「あたしもさ、ずっと言いたくて言えない気持ち
あるんだ」












確か、おんなじ院生だった・・・
ヒカルからなんとなく話を聞いてた
























「見てるだけでいいって。思ってる」















そうだよね


見てるだけで幸せになれることだったある






















「だけどね、それで満足できるのかなーって思ったりもするんだ」
「何で?」
「だって、何も言わないまま他の子と付き合っちゃったりとかしたら、
あたし、絶対後悔すると思うのよねー」


















後悔




あの時こうしておけばよかったって



思う日が





あたしにも来る?

























「今ある想いが、これからもずっと続くなんて保障
どこにもないでしょう?」
「・・・うん」
「たとえ自信があったとしても、これから先、自分が好きになる人なんて
きっとわからないよね」


















考えたことなかった









ヒカル以外を好きになるあたし






きっとじゃない



ありえないことじゃない


















言わないってことは

一生後悔するかもしれないってこと




































「決めたんだ。たとえ重荷になるってわかってても
伝えなくちゃいけない言葉はちゃんと言わなくちゃって・・・」
「明日美ちゃんって、オトナだよね」
「そうかな」
「うん、かっこいい」



















そうだ
誰を好きになって生きていくかなんて
自分にもわからないんだ





今好きでも
変わってしまう思いだってある


叶わない想いだってあるかもしれない








そのとき
自分はちゃんと納得して
相手のことを見ていられるか






言わないまま後悔して

後で気づいても遅くて







そんな想いで生きていくのかって






どっちがいいかなんて決まってる
























「話聞いてくれてありがと、明日美ちゃん」
「どういたしまして。」
「あたし、言うよ。ヒカルにちゃんと」
「頑張ってね」
























伝えよう
後悔するよりずっといい



たとえ叶わなくたって
伝えられたら、想いは届いたってこと










何年か先に思い出すとき
笑っていられるように

























明日美ちゃんと別れてあたしは
まっすぐにヒカルのうちに向かった
























「あら、あかりちゃん」
「こんにちはー。お久しぶりですー」
「ちょっとみないうちに、綺麗になって」
「そんなことないですよ
あの・・・ヒカル。いますか?」
「ちょっと待ってね。
ヒカルー!」








おばさんが呼んでくれたら
ヒカルが降りてきてくれた























「あかりちゃんが来てくれたわよ」
「あかりー?」
















何かめんどくさそう?


ヒカルっぽいよね。そんな言い方






















「どうかしたのか?」
「せっかく来てくれたのに、そんな態度失礼よ」
「いいんだよ、あかりなんだから」








あたしには失礼な態度とっても言い訳?

特別っぽいけど、ちょっと複雑
























「いいんです。いつものことだから」







あっさり返してみるとヒカルは




「ほら」



なんておばさんに言って、呆けられてた



























「めずらしいじゃん、来るなんて」






言われてみればそう
中学を卒業してから
会いたくても理由がなくて
そんな理由で、ヒカルのうちに来るの、遠慮してた






















「あ、うん。あのね」






ここではちょっと言いづらい























「指導碁・・・打ってもらおうと思って」








何てベタな言い訳























「別にいいけど・・・」












そんな理由でもいいかな

とりあえず























「んじゃ、部屋。行く?」
「うん」
「お茶持ってくわね」
「すみません」























あたしはヒカルに続いて、部屋への階段を上る




何か不思議な感じ


久しぶりの雰囲気とにおいに
それだけで泣きそうになった

























「入れよ」
「うん」













ゆっくり足を踏み入れてみたら

あたしの知らない景色が広がってた
























「変わった?」
「ああ。まぁ・・・」


















殺風景になった気がする




ヒカルも落ち着いてきたってことかな


























「遅くなるとまずいだろ。早く打とうぜ」
「あ、うん。」
「一応、帰りは送ってやるよ」
「え?いいよ!近いんだし」
「遠慮すんなって」













甘えてみてもいい?























「置石。置かねぇの」
「置くよ」
















置かないで勝てるなんて思ってないもん












「それだけ?」
「少ないかな?」
「これで戦えるならどうぞ」
「むー・・・っ」









悔しいけどその通り












勝てないだろうけど

指導碁だし























「あしただって、一応強くなってるんだから!」
「それじゃ期待するとしましょうか?」
「ぎゃふんって言わせちゃうから」
「今どきぎゃふんかよ・・・」
「もーっ!」

















からかうくせは変わってない?

でも何となく
からかい方がオトナになったかな























「じゃあ・・・お願いします」
「お願いします!」































++++++++







「・・・」
「降参?」
「もーっ!」
「怒るとこかよ」
















指導碁のくせに遠慮ないんだから






















「ちょっと腕上がった?」
「勝てなかった・・・」
「勝つ気でいたのかよ」
「いたの!」










ウソだけど



















「ヒカルにぎゃふんって言わせたかった!」
「ぎゃふん」
「!ばかぁーっ!」
「バカ!?言ってやったじゃん!」
「ばかばかぁっ!」





















ぎゃふんなんて思ってないくせに



















「わけわかんねー。」
「わかんなくて結構ー」















女心なんて、ヒカルにはわからない




















「ほら、帰るぞ」
「・・・はーい」





















伝える気で来たはずなのに



何か言えずじまい

















そうだ

帰りがあるよ








ちゃんと伝えよう







だけど伝えてしまったら


さっきみたいな時間は
もう来なくなるのかな






















「あかり送ってくる」
「お邪魔しましたー」
「もう帰っちゃうの?」
「はい。」
「また遊びに来てね」
「はい」














もう来れないかも知れないけど






















決心って。つけたらきっと戻れないことなんだよね






















「寒いな」
「もうすぐ11月だもんね」
















枯葉も舞ってる



















秋は恋の季節






















「ねぇヒカル」
「んー?」
「あたしね、ヒカルに聞きたいことあるんだ」
「聞きたいことー?」


















言う前にヒカルの気持ちを確認したい




嫌いだって言われても
ちゃんと伝えなくちゃ





















「ヒカルはあたしのこと・・・どう思ってるの・・・?」
「へ?」
「嫌い?」
「え・・・と。この場合、どう答えればいい?」
「思ったように答えて」
「嫌いじゃないけど・・・」














良かった






















「あたしはね、ヒカルのこと・・・好きだよ」
「あか・・・」
「ヒカルのこと、大好きだよ」

































ずっと好きだなんて言えないから

誰にもわからないから















だから


















今ある想いがほしい









今ある気持ちを大切にしたい















切ないけど、大切にしたい気持ち



























「ヒカルのこと大好き」
















もう幼なじみには戻れない?

返事はまだ、聞きたくない























何も言えない時間が
ただ流れて






















「ここでいいよ。ありがと!」
















ヒカルと惑ってるよね?
いきなりこんなこと言われたら困るよね






いいの



ヒカルにとって幼なじみでも


伝えられたから






















「あたし、行くね!手合い頑張ってね」






















駆け出した


















ヒカルを振り返らずに






















言っちゃった




言っちゃったよ















何だかすっきりした気分













ヒカルの気持ち



あたしの気持ち







重ならなくてもいい





















走れるとこまで走って






















星を見上げたら
キレイな三日月が見えた






こんな澄んだ空気のように

あたしの気持ちも晴れてた























音楽が流れて














携帯を見たら、メッセージが入ってた





それはヒカルから





















『逃げんな!』















だって恥かしかったんだもん




















「ごめんね」






って入れたら












『返事したいから、今度会いたい』






って入ってきた

















「うん。わかった」




















大丈夫



どんな結果でも、あたしは大丈夫






















翌日ヒカルに会った




返事は・・・?






















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中途半端に終わってみました。告白大会なので、最後はうまくいったということで・・・
恋言葉〜女の子編『ずっと好きだなんて言えないから』です。
どっちにしようか迷ったのですが、こっちにしてみました。

これよりもっと中途半端に考えていたのが、告白しないで、「ずっと好きだなんて言えないから、気づいてほしい」
みたいな終わりにするつもりでした。本当はそういう意味な気がするのですが。
「好きだっていう気持ちは、っずっとだなんて保障はないから」という意味にしてしまいました。
というか、「あたしのことどう思ってるの?」と聞くあかりちゃんが描きたかっただけです(ぇ)
もう一つ、「どんな顔し会えばいいの?」という恋言葉があるので、リンクさせようと思っています。
でも企画では描かないですよ(は)いずれ。いずれです。





音羽桜姫。









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