気付くのが遅すぎたかもしれないけど
伝えずにはいられなかったんだ































「ヒカル、話があるの」
















あかりから突然の電話





























「今度、会えないかな」















何か深刻そうな声で
いつものあかりと違うような
































「いいけど…何かあったのか?」
















思わず聞いてしまった


































「何かって言うか…相談にのってほしいの」
「電話じゃ言えないこと?」
「そうでもないんだけど…会って話がしたいの」
















あかりが俺に相談?
しかも、何か深刻そう?














何かすごく気になったけど

































「わかった。いつ?」
「明日、棋院まで行ってもいいかな」
「んじゃあ、手合いが終わったら待ってるよ」
「ごめんね」
「いいって!」












あかりの様子を気にしながら
お互いに電話を切った
























































「…え」












翌日
あかりは棋院に来て



近くの店で、俺は
あかりの話を聞いた





































「だからね、和谷さんに告白されたの…」














告白?


告白って何だ?






















あまりに突然のできごとで
俺は頭の中が真っ白になる









































「…いつ?」
「え?」
「いつされたわけ?」
「えっと…2日前にたまたま会って…」












あのやろー
俺に断りもなくそんなことしやがって












今まで一言も、言わなかったじゃねぇか








って
何で俺、怒ってんだ?


























「で?」
「で?って…どうしたらいいかなと思って…」
「そんなこと俺に聞くなよ」
「だってヒカル、和谷さんと仲いいから…」














仲いいだって?
冗談じゃない



























「あかりはどうなわけ?」
「え?」
「和谷のこと。好きなのかよ」
「…うん」
















少し赤くなったあかりを見て
何だろう





よくわからない痛みが駆け抜けた














それをごまかそうと
不自然な態度になる

































「ふーん」
「ね。どうしたらいいかな?」













そんなの


そんなこと聞かれたって困る














俺がどうこう言えた義理じゃない

























好きなら



仕方ないじゃん
























何だ


何でこんな気持ち



何かを無くすような焦燥感



































「そっか」
「ヒカル?」
「付き合えば?
「お似合いなんじゃねぇ?」
「え?」
「うん。和谷ならある程度信頼はできるし」
「…」
「裏切るようなことはしないだろ
安心して、幼なじみを任せられるさ」
「…ヒカル」




















何だよ



何でそんな





泣きそうな顔するんだよ




















好きなんだろ


和谷のこと






























「んじゃ俺、帰るわ」
「ヒカル!」
















いつもなら振り返るのに





出来なかった



































それから数日して
あかりと和谷が一緒にいるのを見かけて









あの時と同じ気分になった







この気持ちが何なのか
俺はまだ気付かなくて





























「あれ?進藤じゃーん!」
「お二人さんはデートですかー」
「まぁなー」













笑い合う二人を見て
疎外感を覚えた気がした










見ていたくない












何でか
そう思った



























「俺、急いでんだ」














ヘタな嘘付いて





















「ごめんな、引き止めて」
「ああ。またな」
「気をつけてね」













とにかく二人といたくなくて

逃げるようにして離れた









































「やっぱりヒカルにとってあたしは、幼なじみなのかな」
「大丈夫だって!もうちょっと頑張ってみようよ」
「…うん」
















何でこんな気持ちになるのか

何となくわかった











本当はきっと
ずっと前に気付かなきゃいけなかったんだ













あかりが好きだってことに






















俺とは違うんだって思い知った時

気持ちははっきりしてたんだ












だけどもう遅い









今更気付いたって
あかりはもう
俺だけのあかりじゃない














遅い…


遅いのか





たとえ叶わなくても










伝えるだけでも
















困らせるかもしれない













でも
伝えたい















止まらなかった
そう思ったら





















ごめん
和谷


















ごめん
あかり


























二人を見た場所に急ぐ



まだそこにいて





























「あかりっ!」

















少し遠い場所から
叫ぶように呼んだ

































「え?ヒカル?」










驚くよな








逃げたのは俺なんだ





































「どうしたんだ、進藤?」


















どうしたんだって?













そんなの
































「あかり、俺…俺…っ」









今更気付いても困るんだって
言ってくれたっていい








そしたら
あきらめもつくはずだから














あきらめ悪いんだ



往生際が悪いんだ



















気付くのはいつも
なくしてから








































「やっぱり俺、お前が好きだ」
「ヒカ…」
「今更ごめん
笑ってくれていいから」






















もうわかってる

答えは


































「ごめん和谷。やっぱりあかりは渡せない」











渡さない
渡したくない?













誰にも






















もう後戻りはできない

伝えた

あとは幼なじみに戻ろう

後悔はしないから


































「ヒカル、ほんとに?」














あかりの震えた声が聞こえた






















「ほんとに」














これしか言えない

ウソじゃないから
































「何で…何でもっと早く言ってくれなかったの?」














わかってる
自分でも遅いって




















「ごめん…」



















今更こんなこと言って







戸惑うよな





























「ばかぁー!」












あかりは泣き出した








何で泣くんだ






































「お前、遅いよ」













和谷に言われるとムカツク


































「自覚するまで、随分時間かかって…」
「うるさいなぁ」
「良かったね、あかりちゃん
これで俺の役目も終わりだ」
「へ?」












何?
どういうこと?



























「じゃああかりちゃん、あとは頑張って」






和谷が泣きじゃくるあかりの頭をなでて




















「好きなら泣かすなよ」














余計な一言を残して
その場から遠ざかる











何だ
今のはどういう























とりあえず
あかりを落ち着けよう



























「歩けるか?」


















あかりはこくんとうなづいたから





その手をとって
どこか座れる
話が出来る場所に連れて行く

































誰かに見られるもの何だし


棋院も近いし









近くの公園まで連れて行った































缶ジュースをあかりに渡す




























「落ち着いた?」












あかりは返事の変わりに、こくりとうなづく






























「で?さっきのは・・・」















いきなりっていうのもどうかと思うけど、気になって仕方なかった































「あのね、2日前に和谷さんと偶然会ってね。ヒカルのこと聞かれたの」
「俺のこと?」
「和谷さんには、あたしがヒカルのこと好きだって気づいてて」
「え?」
「ヒカルが気づくように、協力してくれるって言ってくれたの」














じゃあ何か?
これは俺に気づかせるための和谷の作戦だってってわけか?



俺は和谷に踊らされた?


























「じゃああの相談は・・・」
「和谷さんがそういうことにすれば、ヒカルの気持ちがわかるよ・・・って」











何で和谷が気づいて
俺が気づけなかった?





























「ようするに全部、和谷の差し金?」
「まぁ・・・」













ちくしょー!

何だってんだよ





























「でも、ヒカルが悪いんだよ?気づいてくれなかったから・・・」













それを言われると痛いんだけど






























「ねぇ・・・さっきの・・・」
「さっきのって・・・」
















思い出しちまった




はずみで言ってしまったこと

ウソはないけど




























「嬉しかったよ」
「・・・うるせー・・・」
「照れてる?」
「照れてない!」






















踊らされたの悔しいけど



これがなかったら俺、きっと気づかないままだった




そういう意味では感謝しなくちゃなんだけど



一時でもあかりの彼氏を演じたバツは重いんだぜ








今度の研究会は・・・
ただじゃおかない
















でもまぁ・・・今回は免除してやろうかな




せっかく叶ったんだし

















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自サイト企画ひかり祭「恋愛偏差値。」恋言葉〜男の子編〜『やっぱり俺、お前が好きだ』
最後なので、いつにもまして、少女漫画度UPでお届けしております(笑)
この企画で、これが進藤さんに一番言わせたいセリフでした。
それにしても、男の子の恋言葉は、和谷さん90%の確立でご登場でしたね。
二人を一番理解している・・・と姫は思っています。

あかりちゃん、すごい演技力です。騙されました、進藤さん(ぇ)
あかりちゃんは自分の恋心を自覚してて、進藤さんは、気づいても気づかないふりをしてて
告白させたいわけではなく、自覚してほしかっただけなのです。
そこはそれ。男の子ですね。自覚したとたん。素晴らしいセリフを吐いてます(笑)

これで告白大会は終わりです。
企画もこれで終わりとなります。
長々と今までお付き合いくださり、どうもありがとうございましたvv
次はあかりちゃんのお誕生日にまた。よろしくお願いします(ぺこり)








音羽桜姫。







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