小さな心配
大きなお世話?

















「じゃあ俺、チラシ貼って来る!」
「ごめんね、進藤くん」
「まっかせといて!」






中学生になって
ヒカルは囲碁部に入った









葉瀬中囲碁部の人数は
ヒカルを合わせて2人と



かなり少ない


大会にもでられない人数だ



















「あたしもついてこー!」
「何でお前が来るんだよ!」
「だっておもしろそうだもん!」
「お前、部員じゃないだろ!」








ヒカルに着いて回っているあかりだが



部員ではない






ヒカルに冷たくあしらわれても
あかりは理科室に居座っていた


















「えー。いいじゃない
細かいこと気にするなんて、ヒカルらしくないよ?」
「…来てもいいけど、邪魔すんなよ?」
「しないしない!」
「よし!あかりも手伝え!」
「うん!わかった!」








はしゃぎながら二人は
部室として使っている理科室を出て行った


















「ここでいい?」
「もうちょい上」








掲示板の開いているスペースに
手作りのチラシを貼り付ける







ヒカルでは届かない場所も、あかりなら届く


















「よし次!」
「はーいっ!」







貼れる場所を探して
二人で歩き回る




















「ねぇ、ここは?」
「もうちょっと目立つとこ探せよ」
「目立たないかな、ここ」
「こことかだなぁ・・・」








ヒカルが後ろの掲示板を指差そうと振った手が

同じ学年の男子生徒に当たってしまった

















「いってぇ」
「ヒカル、大丈夫?」








ぶつかったのはヒカルだけれど



割り込んできたのは向こう





















「何だ、お前か」
「お前って何だよ!」
「ヒカル、ケンカはダメだよ」
「うっせぇなー。わかってるよ」









前に一度、上級生を相手にケンカを売り(モップを振り回した)

あかりは気をつけるようにしていた




















「そこ、俺たちが先に見つけたんだけど」
「囲碁部って、弱いんだろ?」
「大会にも出られないって聞いたぜ」
「だからなんだよ」
「弱いとこは大人しくしてろって」
「そー!そー!」








おとなしく話を聞いていたヒカルだったのだが

囲碁部をバカにされるのは許せないらしい
















「弱いとか、強いとか、所詮中学の部活だろ!」






言ってしまった










ヒカルたちのほかに貼りに来ていた生徒は

バスケット部




以前、ヒカルが絡んだのと同じ部活









全国大会レベルらしく















「弱小囲碁部と一緒にすんな」
「うっせー!たかが部活じゃねぇか!」
「言ったな!」







あかりがはらはらと見守る中




部活同士の戦いは一触即発


















「弱小だからって、囲碁部をバカにするお前が悪いんだからな!」
「たかが部活だって言ったの、お前の方じゃん」







どっちもどっちである



















「やるならこいよ」






挑発されたヒカルが

















「お前、これ持ってろ」








あかりに、頭から学ランを投げつける
















「これ持ってろって・・・え?」





あかりは、頭から半分、ヒカルの学ランを着ている




















「ヒカル!ケンカはダメだよ!」
「わかってるよ!
この場所を賭けて、100m走で勝負だ!」
「よし!絶対バスケが勝つ!」
「俺を甘く見ると、痛い目見るんだぜ?」







ヒカルは昔から、運動神経だけは抜群だった



















「ヒカル・・・」
「お前も来い!」
「えーっ!」









学ランを着たあかりを、ヒカルは引きずって行った




















「お前が審判だ」








あかりを指差す


















「それ卑怯じゃねぇの?」
「何でだよ」
「だって藤崎、囲碁部だろ?」
「あ。あたしは別に・・・」
「こいつ、部員じゃねぇよ」
「・・・」







納得いかないようだったが、しぶしぶ勝負を受ける






















「じゃあ、行くよ・・・?」
「いつでも来い!」
「位置について・・・よーいスタートっ!」










あかりの声とともに、二人はいっせいに走り出した







バスケ部も早いが、そこはさすがヒカル



3秒以上の差をつけて、勝利した





















「俺の勝ちー!」
「ヒカル、すごーいっ!」








手を上げたあかりは、学ランの大きさに驚いた



















「これ、おっきい」
「は?」
「だって、あたしが着てもこんなに大きいんだよ?」
「だから?」
「ヒカル、着れないよね?」
「俺のだっつーの!」








あかりから学ランを取り返して(?)






















「俺が勝ったから、あそこは囲碁部の場所だ」
「くそーっ!」
「ご、ごめんなさい」
「行くぞあかり!」
「はーいっ!」









学ランを肩にかけたまま歩き出したヒカルに、あかりは後を付いて走った




















「ヒカル、足速いよね」
「まぁな!」
「勝っちゃうなんてすごいよ!」
「もっと褒めろー」
「お調子者ー」
「何だって!?」
「何でもない!何でもない」








あははと笑いごまかすあかりを、横目でにらんで

















「でも、そんなに大きなの買って、背伸びなかったらどうするの?」
「伸びるさ!俺はこれからが成長期なの!」
「ほんとに?」
「お前、何の心配してんだよ」
「ヒカルの背の心配だよ」
「余計なお世話!」
「あー!そんなこと言って!可愛くない!」
「可愛くなくて結構!俺は!男だ!!」
「わかってるもーん」
「お前の背なんか、簡単に抜いてやるからな!」
「そうじゃないと、学ラン似合わないよね・・・」
「うるせーっ!」








ヒカルの声がこだまする


















「いいか!俺は男だ」
「うん」
「気づけばイヤでもでかくなってんだぜ?」
「ふーん」
「・・・おい」
「それより!早くポスター貼りに行こうよ!」
「お前、ポスターどうしたんだよ」
「・・・あ」








どうやら、どこかにおいてきてしまったらしい



















「お前、ほんとドジ」
「ヒカルのせいだ!」
「何でだ!!」










本当に学ランが似合うようになるまで、あと少し






いつか来るその日まで






似合うようになる日が来るまで











そのときに抱く感情を知るのは、もう少し先の話















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中学に上がりたてひかりの学ラン話でした。
まだ進藤さんの方が小さくて。昨日コミックス見て思ったのですが、進藤さんって一年生の時、
学ランの袖折って着てるんですね。大き目の買ったのでしょうが・・・
ほんと、似合うくらいの大きさになってよかったです(笑)
あかりちゃんじゃないですが、ちょっと心配しちゃいますよね。小さいと可愛くてよいですがv(は)

何か、「ひかりでいっぱい!胸いっぱい祭」の2つ目のお題『背くらべ』と似通ってますが(滝汗)
なるべく会話は同じにしないように、進藤さんに「抜いてやるからな!」というセリフははかせないようにしました。
はいてない・・・よね?(笑)

ちっちゃいことでからかわれる進藤さん。好きとか嫌いとか、まだそんな感情を知りません。
あかりちゃんも、進藤さんの背が小さいことを純粋に心配していて。
気づいたら、怖いくらいに似合うようになっていたと。
その時に抱くのは、あの頃とは違う感情です。
あ、続き描きたくなってきたかも。学ランが似合うことで、どきどきするあかりちゃんの話になると思います。
ほんとに描くのか、姫さん(ぇ)






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