あとどのくらい
あなたとの時間を過ごせるかな












Spring time of life














学校帰り


何度思ったかしれない
自転車通学がいいなって

















「重い…」





期末テストの時期

いくつかおいてある教科書を
全部持ち帰る



かなり重い




こんな時、自転車通学だったら
荷物をカゴにのせられるのに




こんな重い荷物を抱えて歩かなきゃいけないのは
学生ならではの悩みかな



















一度荷物を下において






「よし!」





気合いを入れて
荷物を持つために前にかがんだら




キッて

ブレーキをかける音がした



















「やっぱりあかりだ」
「ヒカル!」






何でヒカルがここに…



















「どうしたの?」
「学校帰り」
「え?」
「学校帰り!学生らしく、学ラン着てんだろ!」










ヒカルの学ラン姿
見るの久しぶりだよ



っていうか

ヒカルを見るのも久しぶり


















「今日、学校来てたんだ?」
「もうすぐテストだろ?」
「手合いは?」
「俺はあいにく、塔矢と違って忙しくないんで」
「なるほど!」
「おい!」







必要な手合い日以外は
学校来てるんだね




でもあれ?


















「何で自転車なの?」
「ああ、これ?
今日遅刻してさ。ぎりぎりだったから、自転車乗ってきた」
「自転車通学って…」
「そこらへんに置いといたに決まってんじゃん」
「うわー…」
「何だよ」
「不良ー」
「これくらい!」






いいご身分ね

















「かばん乗せてやろうか?」
「いいの?」
「構わないけど」
「ありがとーvv」





不良なんて言ってごめんね

心の中で、そっとごめんなさい
















「乗せてやるよ」
「あ、ごめんね?」







何かたくましい?

















「それにしても、手合いがないから学校来るなんて・・・」
「何だよ?」
「学校が嫌いだから、高校も行かないんだと思ってた」
「勉強は嫌いだけど、学校は嫌いじゃないさ」
「でも学校来たら、勉強しなきゃいけないよね?」
「だって俺は高校行かないからさ。テストの結果とか関係ないじゃん」
「そうだけど・・・」
「今のうちに、気分だけでも学生しとこうかと思ってさ」
「・・・そっか」






ひょっとしたら、もう二度と

ヒカルとこんな風に帰るなんてこと



ないかも知れない


これが最後かもしれない




学生のヒカルと、学生のあたし




今だけは



















「寒いな」
「早く帰りたい?」
「帰りたい」
「自転車乗ればいいのに・・・」








何も、あたしに合わせてくれることない

こうやって会えたことだけでも、あたしにはいい想い出になるから


















「お前な・・・あかりのかばんだけ連れて帰れって言うのかよ」
「あ、そっか!」
「・・・天然」
「何か言った?」
「何も」







チラッと何か聞こえたんだけどな




















「じゃああれだな」
「あれ?」
「あれしかないだろ?」
「あれって?」
「二人乗り」
「え?」







ヒカルと?














「見つかったらどうするの?」
「ここまでこりゃ大丈夫だろ」
「でも・・・」
「大丈夫だって!」







ヒカルって、ほんと気にしない


















「あかり、後ろ乗れよ」
「・・・はーい」






まぁ、疲れるのはヒカルだし



いっか

















足を突起にかけて、ヒカルの肩に手を置いたとき
ヒカルから待ったがかかる


















「ちょ、待って」
「何?」







ヒカルは学ランをぬぎだした





















「寒いよ!?」
「自転車こぐのに、学ランって肩こるんだよ」
「じじくさ・・・」
「仕方ねぇだろ」









『最近運動してないんだから』


なんてぶつぶつ言いながら

脱いだ学ランをあたしに渡す

















「え?何?」
「持ってて」
「持ってて・・・って、え?」
「持ってちゃ乗れないか」
「どうしよ・・・」
「着とけ」
「え?」







着とけって


これを?

















「そうすりゃ乗れるだろ」
「乗れるけど・・・」
「ほら、早くしろよ」
「・・・うん」







遠慮がちに、あたしはヒカルの学ランに袖を通した







重い
















「じゃ、行くぞ」









そう言ってこぎだした自転車に二人乗り








風が肌をさすのが気持ちよくて

学ランが風にぱたぱたと揺れて




あたしとヒカルの髪の毛が、風になびいて

















「気持ちいいね!」
「俺は疲れる」
「あははっ
頑張れー!」









冷たい風が、ヒカルに反応して帯びた熱を冷ましていく




心地よいくらいの痛みと


ほんの少しの時間を残して






穏やかな時は流れた


















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これまた卒業間近のひかり話でしたー。
以外にワルな進藤さん。どんとこいですよ!姫は!
学ランシリーズに入れようと思ったのですが、タイトルつけちゃったのでやめました。
タイトルは、日本語に直すと「青春」です(笑)

最後の心地よい痛みは、切ない痛み(笑)です。
大きくなった進藤さんに、以外に重くて、似合うくらいの学ランが。
一緒にいられるのは、あとどのくらいかな?って。
ずっと一緒にいられたらいいなって。思ってるけど口に出せない
せめて、幼なじみで許されてる時間だけは、一緒にいたいなって

風と一緒に流れる穏やかな時間。卒業前の大事な宝物になりました。






音羽桜姫。






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