見つけたら
すぐに会いたくて



それが嬉しくて
















「終わったー!」







クラス中に
安堵の声が広がった














「じゃあ係りの人、集めて持ってきてください」







今日の数学の授業は
抜き打ちの小テストだった




先生が出て行ったあとの教室は
ブーイングの嵐






そんな中

係りのあかりは
プリントを集め始めた














「後ろから流してきてくださいー」





あかりの声に
列の一番後ろから
プリントが集まってくる





あかりはその束を一つづつ集めていって
クラス全員のプリントの束を手にした


















「じゃああたし、置いてくるね」
「一緒に行こうか?」
「大丈夫だよー」





友達の言葉を嬉しいと思いつつ
笑顔で断った







あかりが出て行ったあとの友人同士の話には











「あかりって、頑張ってるよね」




褒め言葉ともとれる会話が広がっていた



他の誰が言っても
あかりが言うと
嫌味には聞こえない


だから

憎めない



















(抜き打ちでテストなんて、先生ヒドイよね…)





職員室に向かう廊下の途中
あかりは心の中でつぶやく


















(最近、ツイテないなぁ…)







イヤなこと
までとはいかないけれど














(ヒカルにも全然会ってないし)





大好きな幼なじみにも
ここしばらく会っていない

学校に来ていても
クラスが違うと
会える機会は少ないのだと



最近になって悟った





会いに行けば会えるけれど
そこまでする勇気は
あかりにはまだ持てなかった



















「失礼しまーす」







職員室の扉を開けて
先生のところに向かう途中





ヒカルの姿を見つけた

















(あれ、ヒカル?職員室にいるなんてめずらしい
でもラッキー)







思わず顔がにこやかになってしまう



















「先生、プリント持ってきました」
「ありがとう」







プリントを渡しながら
視線は知らず、ヒカルに向かう




















(何話してるんだろう?)







気になったけれど
その会話はここまで聞こえない



















(聞いてみちゃおうかな)
「失礼しました」
「ご苦労さま」




あかりはぺこりと頭を下げて

職員室の前で、ヒカルが出てくるのを待った


















(待ち伏せなんて、趣味悪いかな)





心の中で思いながら苦笑する




時間はもうすぐ、授業が始まる時間

あかりは限界まで待とうと
そわそわしながらヒカルを待った



















「失礼しました」






出てきたヒカルを呼び止める



















「ヒカル!」
「あかり」






ヒカルはパタンと扉を閉める


















「何してんの?」
「職員室に用があったから・・・で、ヒカルを見つけちゃったから」
「待ってた?」
「あ、うん」






ヒカルはそんなあかりを見て、穏やかに笑う



















「授業始まるよな」
「そうだね」






ヒカルが歩き出すと、あかりはそれに続いた
















「ヒカルが職員室にいるなんてめずらしいよね」
「そうかぁ?」
「だって小学校の頃から、職員室が一番嫌いだって言ってたじゃない?」
「そうだっけ?」
「そうだよ。ねぇ、先生と何話してたの?」
「進路の話」
「ヒカル、高校どこの高校行くの?」
「俺?高校行かねぇよ?」
「え?」






一瞬、あかりの顔から笑顔が消える




















「ヒカル、高校行かないの?」
「ああ。中学出たら、プロ一本でいく」








ヒカルのきらきらした瞳が好きだった

今もこうして隣を歩くヒカルの瞳は



きらきらしてる


あかりにはそう見えた






ヒカルは、好きなものに進んで行こうとしてる




だったら自分には何ができる?



















「そうなんだ・・・」
「勉強嫌いだしな」
「あはは」








自分はうまく笑えてるだろうか


今までの時間は
もう二度とこない


あかりはそんな気がした


















「なんて顔してんだよ」






髪をくしゃくしゃとして



















「俺、頑張るから。あかりも受験頑張れよ」








泣きそうになった





気づかれてる?


抱いてる気持ち





















「うん・・・頑張るよ」





それぞれの道を見つけて
それがたとえ、別の道だとしても

変わらないことを信じて





ヒカルの大きなてのひら



自分より少し大きい学ラン姿



赤くなりながら
その背中を見送って




これから先


交わす会話がなくなったとしても




ずっと応援していこう










同じように頑張っていれば
また届く

その手のひらを










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学ランネタ。恋人未満中学生ひかりです。
進藤さんから、初めて「高校に行かない宣言」をされたあかりちゃん。
離れ離れになる不安から、笑顔が消えちゃいましたが。そこは進藤さん。
何だかオトナにまとめてくれました(笑)

ほんとは、進藤さんがあかりちゃんをからかうお話が描きたかったのですが・・・(元ネタmさん)
何か気に入らないような気もするので・・・
できたらまた1から描いてみたいです。
ほんとに、いくつ描けば気がすむんだろう、姫さん・・・(笑)
とりあえず、思いつままにー





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