真っ白な景色に思い出す風景
手のひらに舞い落ちるのは
小さな雪の華





雪の華





久しぶりに雪が降った
ぱらぱらと降る粉雪
あたしは落ちてくる雪に手をかざし
雪を捕まえる
手のひらの熱ですぐに溶けてしまう雪

「消えちゃった・・・」

寂しくてポツリつぶやいた

ひんやりとした冷たさが
身体ごと冷やしていく

昨日からの雪は
夜のうちにも降り注ぎ
地面が見えなくなるほどの
白い世界を作り上げていた
ただなんとなくぼんやりと
いつもの帰り道を歩く
いつもと同じ道なのに、
どこか違う雰囲気に飲み込まれる





ふと立ち止まる先は
小さい頃にヒカルと良く遊んだ公園
懐かしくて
少しだけ足を踏み入れてみた



降り続く雪
誰もいない
静まり返った公園
見渡してみる
一面の銀世界は
まるで別の世界
違う場所にいるようで
あたしはその場でそっと目を閉じた




音もしない 静かな公園で
積もっている雪をそっと手にしてみる
冷たくて でもその冷たさが気持ちよくて
あたしは融けては消える雪を 何度も何度も手にした
手にするだけじゃたりなくて 少しだけ形を作ってみた
小さな玉を
それを、足跡もついていない まっさらな中に落としてみる

楽しくなった

楽しくて
あたしはたくさん玉を作り始めた

空気が寒いと感じていたあたしの体温は
いつのまにか少しずつ 温かくなっていて
ただ夢中で作り続けてた



「何やってんだ!?」

突然聞き覚えのある声に話しかけられて振り向くと
ヒカルが驚いた顔をして立っていた

「ヒカル?手合い帰り?」
「そうだけど・・・この寒い中、お前何してんだよ?」
ヒカルは
「わけがわからない」
と言う顔で、あたしを不思議そうに見た


「雪玉作ってたの。何か懐かしくなってきて」
「風邪引くぞ?」
「平気、あたし風邪には強いから」


あたしがそう言って笑うと
ヒカルは「はぁ」と軽くため息をついて
自分がしていたマフラーを あたしにかけてくれた


「ヒカル、寒くない?」
「俺は平気」
ヒカルはこぶしを握って、あたしにみせる


「雪合戦、する?」
「ヤダよ、ぬれるじゃん?」


ちょっとくらい付き合ってくれたって
あたしが少しふくれると
ヒカルは突然しゃがみこみ あたしが作った雪玉を手にした
何をするんだろうと思って見ていると
「ぱしゃ」
という音と共に、あたしの身体に冷たさが戻る
気がつけば、着ているコートが少しだけ水をおびた

ヒカルを見ると
「先手必勝」なんていいながら
もう一つ雪玉を手にしている
あたしは反撃するつもりで 雪玉を手に持ち
ヒカルへと投げつけた



そこにあるのは、昔と同じ風景
あの頃と同じ変わらない二人
二人だけの雪合戦はしばらく続いた



雪の舞う静かな公園に
あたしとヒカルの笑い声が響く
他の人から見たら、「こんな寒い中」って
思われるかもしれないけど
あたしは、今この時間がものすごく楽しかった
ずっと続いてほしい そう思った


「あかり、ちょ、待った!」
ヒカルのその声で、あたしの好きな時間は終わりを告げてしまったけれど
気が付けば服はぬれていて
二人とも息を切らしてた
温まった身体の熱を冷まそうと
あたしは雪の中へと身体を倒した

「風邪引くっつってんだろ!?」
ヒカルがあきれた声を出す

でもその雪の冷たさは、先ほどまで騒いでいた熱を冷ますのに
ちょうどよくて
「ヒカルも一緒に寝よ?」

と誘いをかける


「冗談」
ヒカルは苦笑して
あたしはただ雪の中で目を閉じていた

「風邪引くって」

なおも心配そうなヒカルの声を聞いて、
あたしはようやく身体を起こした


「ほら、帰るぞ」

ヒカルがあたしに向かって手を差し出す
その手を握ると、ヒカルの手も冷たくて
碁石を握っているその手
久しぶりに触れてみる

「ヒカル、先帰りなよ」
これ以上ここにいたら、ヒカルが風邪引いちゃう

「お前をおいてけって?」
「あたしもすぐ帰るから」

そういうと、納得したのかしてないのかよく分からない顔で
ヒカルは公園からその存在を別の場所へ移そうとした


少し遠くなったヒカルの背中に
「ヒカル!」
と名前を呼び、その足を止めて
「何だよ?」
ヒカルは振り返る
まるで昔のように
まだあたしの声に、振り向いてくれるんだね
「また遊ぼうね!」
その後姿に、出来る限りの声で呼びかけた
ヒカルはあたしの声に 足を進めながら
「早く帰れよー」
といいながら
小さく手を振る

何度その背中を見送っただろう
未だにあたしは、ヒカルと同じところに立てないで
ずっと背中を追い続けてる
いつか追いつく日を信じて


「くしゅんっ」
(いけない、このままじゃ風邪引いちゃう)
そう思っても まだこの場所から動きたくなくて
しばらく雪の中にたたずんでた

まだまだその背中は遠いけど
いつかきっとたどりつける








****************************************************************************
日記にて、3日間連載してました。
少しだけ修正して、UPします。


2月の終わりに雪が降って、それだけで思いついたネタなので、
結構いい加減なとことかあるかもです(汗
雪っていいですよね。、綺麗でv
好きです、寒くなければ。

タイトルは最初、雪だけだったのですが。
寂しかったので、直しました。
ありましたよね、こんなタイトルの歌。
内容はまったく違いますけど。
このお話は、別のネタの前置きです。
ここからもう一つのお話へと続きます。



最後まで読んで下さいましたかた、どうもありがとうございましたv










SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送