譲れないものがある
























プライド

























「ありません…」
「はい、また俺の勝ちー」
「何で?何で勝てないの?」
「そりゃ、俺だって一応プロなんだし…」
「悔しい…」










二人はいつもどおり

指導碁を打っていた








いつもどおりだったのだけど
ヒカルのある提案により


それは真剣勝負へと変わった









お互い負けたくない











勝負ごとに賭け事は
抜群にやる気を出させるものかもしれない


























「俺が勝ったから、もっかい俺からね」












にこりと笑うヒカルに
あかりは目を閉じた





優しく落とされるキス



























「ヒカルばっかりずるいよ…」
「悔しかったら勝ってみろよ」








意地悪に笑うヒカルに
あかりは可愛いと心の中で思いながら
目では軽く
ヒカルをにらむのだった


























ヒカルが持ち掛けた賭け事







それは





『負けた方が、勝った方の言うことを聞くこと』








もっと厳密に言えば
どちらからキスをするのかと言うこと













もし自分が勝ったら




『キスさせて』







と言う願いにしたヒカル




















逆にあかりが勝てば


あかりからヒカルにキスをできるというものだった


























「もっかいやるか?」
「だって勝てないもん…」











勝ちたいのに







打てば打つほど

ヒカルとの差が開くみたいで


























対局中


何度か、あかりの打ちやすいようにしたこともあったのだが









会話を交わすわけではなく

盤面ではうまく伝わらなかった


























おしいとこには打つのだけど
今一つのところが尾を引いて
あかりは勝てずにいた









見兼ねたヒカルは
勝負方法を変えようと思い付く



























「じゃあさ、こうしようぜ」
「何?」










あかりが勝てるきっかけになるように


あかりにもあげられるように



























「今から俺が出す詰め碁に答えられたら
次の手合いで、お前を有利にしてやる」
「してやるー?」
「してやる
やってみる?」
「…うん!」











チャンスがあるのなら


























「じゃあいくぞ」










ヒカルが一つづつ石を並べていく






あかりは一手一手
それを目で追いかけながら


























「ん。わかるか」
「ちょっと待ってね…」









ヒカルが打った石の流れを確かめながら


























「え…っと…まずここに打って…」
「それから?」
「それから…えっと…ここで…」
「うんうん」
「次にえっと…」










焦っちゃいけない





ヒカルがいつも教えてくれる

















流れを読めば
必ずそこに何かがあるから


























「次は…ここ!」
「当ったりー!」
「やったーvv」












あかりは両手を広げて上にあげ


全体で気持ちを表現する


























「すごいじゃん」
「えへへーvvヒカルのおかげvv」
「何で?」










ヒカルの言葉を思い出したら




























「んじゃ、こっから打つぞ」
「うん!」











解けたことで
少しの自信につながったようだ


























「勝てそうな気がする!」
「ま、頑張れー」











ヒカルの気のない応援に、頬を膨らませながら













『お願いします』










四度目の二人の声が重なって


























(まずここに打って…)
(手抜いてやるか)


























先に響いた声はヒカルだった















「ありません」










その言葉に
あかりは頬を紅潮させる


























「ほんとに?」
「ああ」
「ほんとのほんとに?」
「ウソ言ってどうすんの」










よほど嬉しいのだろう


あかりは何度も繰り返した


























「ここ、いい手だった」
「ほんと?ヒカルに褒められたvv」







嬉しそうに笑う


























「お前の勝ちだぜ」
「うんっ!じゃあ…いきます!」







あかりは深呼吸をした


















普段は恥ずかしがってしない






緊張しているように
手は少し震えている





ゆっくり重なりあった唇で



熱を確かめる

























「…ん」










あかりが離そうとすると
ヒカルの腕が回って

頭を押さえ込む




























「…んぅ…」








少し苦しそうな吐息をもらして


























「…はぁ…っ」







解放された唇からは
溜め息のような声がもれた


























「ヒカル…っ!?」
「詰め碁解けたの、俺のおかげだろ?」
「〜っ///」
「負けたからしちゃいけないなんて
俺言ってないしな♪」
「…ずる…っ!」










ヒカルの方が
一枚上手のようだ


























負けたくない







そんなプライドも
あなたの前では台無しね





プライドも脱ぎ捨てそうなほど

考えるのはその笑顔















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恐れ多くも、Nさまのお誕生日に送りつけましたSS「プライド」の続きです。
「あかりちゃんが勝つのを見たい」いう、お優しいお言葉を何度かいただきまして・・・
調子にのって続きを描いてみました。

あかりちゃん勝って、念願の自分からキスをしたわけですが・・・
そこはさすが進藤さん(ぇ)自分のペースです(笑)
あかりちゃんの願いは叶ったような叶わなかったような・・・?
あの時、何でこのタイトルにしたのか、非常にナゾなのですが。
この続きで、プライドにつなげるのに苦労しました(笑)


あいも変わらずバカップルものですが(汗)読んでくださってありがとうございましたv








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