小指と小指を見つめてみたら




赤い糸




「小指にはね、赤い糸が付いていて
それはたった一人にしかつながってないんだって」
「素敵ー!」
「赤い糸がつながった人は、自分の運命の人なんだよ」




小学4年ともなると、早い子は恋愛というものに興味を持つようになる
あかりのクラスでも、友達がよく話していた


最近の1番の話題は運命の人と小指同士が一本
必ずつながっているという
「赤い糸」


ドラマでやっていた影響もあるだろう
女子の間では、小さなブームになっていた



「見えないっていうのが、ロマンチックだよね」



口々を合わせて
好きな人がいれば
なおさら気になるもので



あかりも小指を見つめた


「あかりは進藤くんとつながってるんじゃない?」


小指を見つめるあかりを
友達が冷やかしまじりに声をかけた


あかりは慌てて

「何言ってんの!そんなつもりじゃ…」

言い訳するも、顔は真っ赤で
言われたとおり、
ヒカルとつながっていればいいなと思ったのは事実


「赤くなってるー!」


赤い糸の話はどこへやら

友達の恋愛に話は移る


「あかりと進藤くん、仲いいもんねー」
「だってそれは、幼なじみだから…」
「とか何とか言って、好きなんでしょ?」
「それは…」


否定はできない
ヒカルに対して、幼なじみ以上の気持ちがあることは確かだから


それでも、はっきり認めるのは恥ずかしい
まして、今の状況で認めれば、何を言われるかわからない

(何でこうなるのー)

小指なんか見るんじゃなかったと
今更後悔



「言っちゃえ言っちゃえ!」
「何を!」
「進藤くん好きーって」
「あ、あたしは別に…!」



あかりは真っ赤になって否定する
素直に反応してしまうから、からかわれることになるのだが


「真っ赤だってばー」
「だからあたしは…っ」



「あかりー!帰ろうぜ」



ムキになって反論しようとしたあかりの声を遮って



「ヒカル!」



なんて素晴らしい
いや、まずいタイミングでくるのか
救いと呼ぶべきか、呼べないのか
あかりは心の中で悲鳴をあげた




「何してんだよ、早く帰ろうぜ」


今まで話題になっていたとは知らないヒカルは
怪訝そうな顔をして、あかりを呼ぶ


友達は何だか、いやらしい笑みを浮かべて

この状況を抜けだすが先か

「あたし、帰るね!」



そう言って、ヒカルの方に駆け出す



「おっせぇなぁ」
「何よ、遅くなったのはヒカルでしょ?」


友達が見ているにもかかわらず
さっきまでからかわれていたのも忘れて
小さな口げんか

見るからに、からかいたくなるような




「もういいよ。行こうぜ」

喧嘩をしていても仕方ないと
先におれたのはヒカル


「らぶらぶね」



友達の一人が、聞こえるように一言



「はぁ?」



ヒカルが、怪訝な顔をして


「じゃあ帰るね!」


それを見たあかりは、慌ててヒカルの背中をおして
二人の姿が、教室からきえた





「女ってわかんねぇ」
「突然何よ?」
「うるさいし」
「どういう意味よ?」



話がかみあっていない



「じゃああたしは?」
「あかりが何?」
「あたしのこともわからない?」
「何言ってんだよ。あかりのことならわかるさ」



嬉しい返事



「今日ね、赤い糸の話を、友達としてたの」
「赤い糸ぉ?」
「うん。小指同士、つながってるんだって」
「ふーん」



男の子にしてみれば
興味のない話
そっけない返事が返ってくる



「あたしの糸は、誰とつながってるかな?」

「俺がしるかよ」
「あたしのことならわかるって言った」
「…それは」
「わからなくていいの!」
「何だそれ」
「ただね…」



そう言って、あかりは自分の小指を見つめた


「ヒカルとつながってたら嬉しいなって思ったの」



ヒカルの手を取り、小指を絡ませる



「見えないから、期待するだけならいいでしょ?」


どこの誰かもわからない人とよりも
ヒカルと、つながっていてくれたら



「つながってるかな?」
「さあな」
「じゃあヒカルは、誰とつながってるかな?」
「誰とも」
「気にならない?」
「じゃあ、あかりでいいよ」


不器用に
ついでのような言い方だけど
いいと言ってくれたから
それだけで嬉しくて




「じゃあ、あたしもヒカルがいい!」




小指をつなぐ赤い糸
できればあなたとつながっていてほしい
そんな小さな願い
他の誰じゃイヤ
あなたがいい









*************************************************************************************************************
はぴばすでー企画で募集していただきました。
ちびさいころさまより『赤い糸』です。
恋人の象徴のような気がするので、恋人ひかりで描こうと思ってたのですが
あれれ?いつのまにか、小学生ひかりになってました(滝汗
どうも姫は、小学生が好きらしいです。ちびひかりも好きですが。

姫の初恋は、小学校3年生のときでした。
やっぱりこの頃って、初恋を経験する人が多いと思いまして・・・
どうなんでしょう?皆様の初恋は。
どうでもいいですが、そうとうなマセガキさんですね(笑


何はともあれ、ちびさいころさまv
お題提供、どうもありがとうございましたvv



2004.05.26
音羽桜姫 拝











SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送