ねぇほら
あったかくて気持ちいい



膝枕





あたしは
ヒカルの部屋にいた
日曜日
学校は休みだ
ヒカルに遊んでもらおうと、うちまで来たんだけど
どうやらヒカルは手合いのようで



インターホンを鳴らすと、おばさんが出て







「ヒカルね、棋院に行ってるの。
すぐ帰って来るみたいなこと、言ってたから、部屋で待ってて。」








おばさんの言葉に甘えて、あたしは部屋に上がり込んでいる
勝手に部屋で待ってるなんて、いつものことなんだけど





会いたくなったら会いに来る
だけどいない
ヒカルを待ってる時間
あたしは結構好き











それにしても手合いだなんて
昨日、電話でそんなこと言ってなかったのに。


週刊碁の予定にも乗ってなかったってことは
プライベートな対局でも申し込まれたんだろうな









あたしの彼氏さんは、他に類を見ないほどの碁バカだから
呼ばれたら行かないわけにはいかないらしい
たまにイジワルで
「行かないで」
って言うと、ほとんどの確率で行かないけど




デートしてても、話題に出るのは碁のことばかり
でも、一生懸命に話すヒカルは、子供みたいで
何だかかわいいから、つい話を聞いてしまう
碁バカなヒカルも、あたしは大好きみたい












ヒカルのベッドに座り込み、散らばっていた週刊碁に目を通していると
おばさんがお茶を持ってきてくれた



「すみません」
「いいのよ!せっかく来てくれたのに、ごめんなさいね」

おばさんが謝ることないのに


「世話が焼けるでしょ?うちの息子」










おばさんは、あたしたちが付き合ってることを知ってる
隠すつもりもなかったんだけど
たまたまばれてしまった
うちのお母さんにも








「いいえ!慣れてますから」


だって
ずっと一緒だったから
今も昔も
出会った頃から
あたしのヒカルへの気持ちは変わらなかった
だから伝えた
そして伝わった
今の二人になった
何ら変わりはないけれど








「ヒカルから、あかりちゃんと付き合うって聞いた時、びっくりしたわー」
「え?」
「ずっと思ってたのよね。お嫁に来てくれないかなって」







おばさんの言葉に
思わず赤くなってしまったのがわかった




「ヒカルの気持ちは何となくわかってたんだけど。
あかりちゃんいいこだから、絶対ヒカルじゃだめだーって思ってたの」


おばさんは、あたしがどれだけヒカルを好きなのか
気付いてなかったのね








「ダメだと思ってたのは、あたしの方ですよ」




苦笑い
だってヒカルって鈍いし
女として見られてないって思ってた

だけどあたしが触れると
ヒカル
真っ赤になるの
それはあたしだけの秘密







「ヒカルは幸せものね」



おばさんはそう言って笑った







そんなことない
幸せなのはあたしの方
ヒカルを好きになれたから
ヒカルが好きになってくれたから






二人で顔を見合わせて笑って
目と目で女の子の約束












「ただいまー」


玄関先からヒカルの声がした


「おかえりー」



おばさんが
「ゆっくりしていってね」

と、部屋から出ていく







「あかり来てんの?」
「どうして?」
「靴があったから」
「…靴だけでわかるなんて、あなた。
よっぽどあかりちゃんにいれ…」
「違うって」




下から、おばさんの言葉を遮った、少し大きなヒカルの声と
ちょっと早足な足音が近付いてくる







「あかり!」








扉を開けるなり、かわいい笑顔で
何だか嬉しくなる
だから、待ってるの嫌いじゃないのよね



「おかえり」

あたしも笑顔でお出迎え



「どうしたんだよ?昨日は何も言ってなかったのに」
「用がなきゃ来ちゃいけないの?」


ヒカルの言葉に
少しイジワルを返してみる



「そうじゃなくて!」


ヒカルは慌てて弁解を
わかってるけど意地悪もしたくなるんだ


「会いたくて来たの。それが用事」



だって、ここに来れば
待ってれば会えるでしょ?
こんなに近くにいるから



「また、そういう」


ヒカルはすぐ照れる









「着替えていい?」
「あたしがいるのに?」
「今更…だろ?」










意地悪な笑みを一つ
今度はヒカルの意地悪
あたしのはまだ、かわいいものよね



どうしてそういう問題発言を、さらさらと言えるのかしら
あたしの意地悪も、ヒカルにとっては問題発言みたいだけど









ヒカルは目の前で着替え始める
見たことあるとはいえ、やっぱりちょっと恥ずかしい
着替えてる間は、後ろを向いて目をつぶる



「あかり?」


ヒカルがあたしを呼ぶ
着替えが終わった証拠

ちゃんと目で終わったのを確認して


「甘えてい?」



あたしの隣りに腰をかけヒカルにおねだり


「ん。」




ヒカルは少し赤くなって
膝をたたく

あたしはヒカルの膝に頭をおいた

1番最初は、絶対にこれ
頬にあたる膝が、すごくあったかい












膝に人差し指をつきたてる


「何だよ」


くすぐったいのかな

あたしはヒカルに意地悪を

待たされてたんだから、これくらいいいでしょ?

好きで待ってるんだけど










ヒカルの膝は気持ちがいい
あたしは、ヒカルの膝が大好き
もちろん、好きなのは膝だけじゃないけど

ヒカルにぎゅってされるのも好き
落ち着くから
その次に落ち着くのが
この膝なの

ぬくもりが直接伝わって
どうにも眠くなる

あくびを一つ
だけど





「そろそろいい?」


ヒカルからおしまいの一言
いつも10分くらいしか寝かせてもらえないから
膝枕はとっても貴重








あたしはゆっくりと身体を起こして



「ありがと、気持ちよかった」
「そりゃどうも」



ヒカルはそう言って、あたしに短いキスを一つ




「次は俺ね」


あたしの膝に頭をおく
ずるいよ
断れない
断るつもりもないけど

そのまま寝ちゃダメだよ?
あとでもっとかまってもらうんだから












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ちびさいころさまより頂きましたお題「膝枕」でございます
恋人ひかりしかできないことですねー。ということで。
必然的に恋人になりました。
何だか前置きが長いですが(汗


姫が膝枕してもらうの好きなんですよー
膝があると、すぐに頭をおきます。
甘えんぼさんな二人が描きたかっただけなのかもしれません(笑
ひかりは常にらぶらぶなんですがーv

こんなのでよろしかったでしょうか?
あとでメールにて送らせていただきますね。

お題提供、どうもありがとうございましたvv


2004.05.29
音羽桜姫 拝









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