あなたのためなら死ねるなんて







光と影









「あかりって、太陽みたいだな」




ヒカルに突然言われた



「どうして?」
って聞いたら

「あったかいから」
って返事が返ってきた





どういう意味?


「だって生きてるもん」





屁理屈をこく

ヒカルは苦笑しながら
あたしの頭をなでた







ヒカルは昨日
塔矢くんとの対局に負けた
本因坊戦の決勝リーグ
勝てば、挑戦者になれる
負ければそこまで
勝ち抜いて勝ち抜いて
やっとここまできたのに

結果は一目半の負けだった








その日の夜
ヒカルはあたしを呼び出して





こうしてあたしはそばにいる








「惜しかったね」

なんて慰め
きっとヒカルはいらないだろうから
あたしは何も言わなかった

ただ黙ってヒカルを抱きしめた






ヒカルに求められるのは嫌いじゃない


いつも優しいから
大切にされてるのわかる





ヒカルが触れたところは温かくて
ほんわりと光がともるよう
そんな雰囲気が好き






友達には言わない
ヒカルにも言わない
自分だけが思うこと










あたしはふと
この間友達が言ってたことを思い出した




「ヒカルは、あたしのためなら死ねる?」







唐突なあたしの質問に
ヒカルはまぬけな顔をした






「何?何で突然、そんな質問?」
「昨日、友達が言ってたの。あたし、彼氏のためなら死ねるって」
「俺?どうだろ。
あかりは?俺のためなら死ねる?」
「あたし?あたしは…」






考えたこともないや
だけど





「死ねないかな」


うん、多分








「何で?」


だって


「あたしは、死ぬよりも、一緒に生きていきたいから」








そう
困った時、つらい時には頼ってもらって
一緒に生きていきたい




迷った時には、進む先を照らして
ヒカルがまっすぐ歩いていけるように
時には、影になってヒカルを支えてあげたい





あなたが死んだら生きていけない
なんて


そんななれ合いはしたくない








「ヒカルは?」

どう思う?






「俺も…そうだな
あかりには生きててほしいよ」



そう言って笑って






「でもそれ、答えになってねぇよ」

突っ込まれた
確かに







「でもね、でもね!」


言い訳するわけじゃないけど







「死ぬなんて、考えたくないの」






生きているから
ヒカルを感じられる






「うん、そうだよな。死ぬよりは生きていきたいな」








少し遠くを見つめて
穏やかにほほ笑む
あたしが1番好きなヒカルの表情



「うん。」




死んじゃったら、そんな好きなものも、近くで感じることができない

そんなのイヤだ
それに、ヒカルはそんなこと、望まないと思うから







感じられる距離にいること
それがどれだけ
大切か
ヒカルは1番わかってる



大切な存在を思い出して
その人がきっとそうだったように
あたしもヒカルのために存在する生命でいたい







「ヒカルのために生きていきたい」







生きていくことは
いろいろ経験していくこと
これから先、光と影も付きまとう





だけど、ヒカルのすべてを受け止めて
すべては無理でも
できる限りを受け止めて
一緒なら、怖くないよね


いつも笑顔だけじゃないってしってる
ヒカルの涙も好きだよ





ヒカルが抱える光と影
あたしが抱える光と影
二つ合わせて
一つの光になるように









「やっぱあかりは、太陽だ」

笑って


またわけのわかんないことを








「熱いってこと?」
「違うよ。
太陽は生きていくのに必要なものだろ?」






つまり?







「俺が生きていくのに、あかりは必要だから」



それはあたしだって同じ







「迷った時の道標って感じ?」



それはちょっと褒めすぎよ







「あかりがいれば、何にも怖くないや」







ヒカルは目を閉じて
あたしを抱き締めた



ヒカルだって
あたしにとっての大切な光









「俺は、あかりに照らされる月かな」






そうだといいな








「あかりがいるから、輝けるのかも」




ヒカルには輝いていてほしいよ
その源になれたなら








太陽と月
お互いに作用しあって
そんな二人になれたらいいね




ヒカルがあたしを望むなら
あたしはいつでも
光になれる



迷う道を照らす光に


だからね
一緒に生きていこう

二人の願いは
共に生きていくこと
光と影を抱きしめて









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Web拍手にて。
コメントとお題を一緒に頂きました「光と影」でございます。
何だかシリアスちっくに
そしてオトナちっくになりました(笑
すみません(><)

あかりちゃんは、進藤さんにとっても「光」だと思うです。
迷う道を、暗闇を照らしてくれる「光」
たとえ道に迷ったとしても、暗闇に飲まれたとしても
「光」があるから、その場所へ戻ってこられる。
いろんな意味での「光」
そして、あかりちゃんも、「光」になれたらいいと思ってる
もうすでに、そうであることを知らないから
それにしても、進藤さん。
少女漫画のヒーローになってますね。
好きです、少女漫画。
このお話のあかりちゃんは、佐為のことを知っている設定です。


本当は、進藤さんが抱える光と影が描きたかったんです。
あかりちゃんへの気持ち対する「光」と「影」
ちょっと裏っぽくなりそうだったので、やめました。
姫が描けるような裏っぽさなんて、ちっとも大したことないんですけどね(^^;

こんなのでよろしかったでしょうか??
少しでもお気に召されると幸いです。
お題提供、どうもありがとうございましたv



2004.05.30
音羽桜姫 拝









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