柔らかくて温かい
あたしだけがわかる
あなたの香







におい








「もう、また脱ぎっぱなしにして!」










あかりは部屋に入るなり、
寝てる相手に文句を飛ばす

なれているせいか
その言い方には随分とげがある







先月から一人暮らしを始めたヒカル

あかりにすべてを任せきりで
自立したとは言いがたい



それでもあかりは、ヒカルに会えることが嬉しかった

合鍵をもらい

「いつでもこいよ」
と言ってくれたヒカルの言葉に甘えて
学校帰りでも会いにきている









テストが近く、しばらく会いにこれなくて
久しぶりに来てみたらこの有様


文句の一つ言いたくなっても、無理はないのかもしれない









何で部屋が散乱しているのか、
何となく見当はつく


昨日、仲間内の飲み会だったようで
帰りの遅くなったヒカルは、帰ってくるなり
その場で着替え、寝てしまったらしい




部屋が物語っていた










「せめて、洗面所で着替えてほしいものね」



ぶつぶつと文句を言いながら、あかりは部屋を片付け始めた


当の本人は、気持ちよさそうに眠っている

何だか幸せそうで

さっきまで怒っていた気分も
その寝顔を見ていたら、どうでもよくなってきて


あかりはいとおしそうに、その寝顔を見つめ
笑った








起こさないように
そっと
静かに部屋を片付ける








疲れているだろうから

さっきまで、あんなに怒っていたのもどこへやら

いつのまにか、ヒカルに気を使っていたりして



(甘いなぁ)
と、あかりは苦笑した







「そうだ!」









と、手を小さく叩き、声もそっと



「起きたら、お腹すいてるよね。
何か買ってきてあげよ!」


気のきくことを思い付く
いい奥さんになれそうな





あかりは静かにドアをしめた












静まり返った部屋
あかりが出て行った10分後



「ふあーぁ」


という、大きなあくびと共に、ヒカルが目を覚ました


まだ寝ぼけているのだろう

上半身だけをベッドから起こし
頭をかきながら部屋を見渡して

綺麗になっている部屋に気付く









「あかり?」









恐らく、片付けてくれたのだろう
合鍵を持たせているのは
彼女しかいないから
ぶつぶつ文句を言いながらも片付けてくれたのだろうと

綺麗になった部屋を見て

嬉しそうに笑った






(買物かな?)



食事でも買いに行ったのだろうと


(帰って来る前に入っとくか)

ヒカルは洗面所へ向かった










その2分後
ほぼ入れ替わりで、
あかりはコンビニから帰ってきた


まだ寝てるだろうから
起こしてはいけないと
足音を忍ばせて
部屋へとあがる





のぞきこむとヒカルの姿は見えなくて








「ヒカル?」








呼んでみるが返事はなく



(お風呂かな)




何となく直感し
買ってきたものを冷蔵庫へとしまい入れ
ヒカルのベッドに腰をかけた

ぬくもりが残っている








あかりはベッドに横たわり
そのぬくもりを全身で感じ取る




(あったかい…)




小さく笑って
布団に顔をうずめる



(ヒカルのにおい)



ふわりと
何だか急に眠くなって
あかりは眠ってしまった










お風呂から出て
驚いたのはヒカル
あかりは気持ち良さそうに
寝息を立てている





「何であかりが寝てんだ…?」



ヒカルはぽつりと
取りあえず起こさないように

そっと近付き
その寝顔を堪能する




久しぶりにゆっくり見るあかりの顔に
何とも言えないいとおしさがあふれる



触れたくて

ベッドへ腰をかけ

風で揺れる髪の毛を指に絡め
そっとキスを落とす








「ん…」




という、吐息のような声と共に
あかりは目を覚ました








「おはよ」


優しく




「あたし寝てた?」


目をこすりながら
身体を起こす



「目、はれるぞ」



そう言いながら
ヒカルはあかりの腕を目から離し
そのまぶたにもキスを落とした








「ごめんね、寝ちゃって」
「いいよ」



並んで座る





「ベッドに座ってたんだけどね。
ヒカルのにおいがしたら、眠くなっちゃったの」



えへへと笑う






「俺のにおいー?」
「うん」
「…どんな?」
「どんなって…うまく説明できないなぁ…柔らかい感じ?」



ヒカルは
「はぁ?」
と言う顔をする
その顔を見て
「あたしにしかわかんないのー!」




そう言って笑った







「何だそれ?」



納得のいくものではないけれど
あかりの笑顔につられて笑ってしまう自分に苦笑しつつ
ヒカルは、あかりの肩を自分に寄せる








「何?」
「じっとしてて」



しばらくの時をそのままに







「あかりのにおい」
隣にいるとわかる気がした



「どんなにおい?」
「甘いにおい」





そう言って
今度はあかりの首筋にキスを




「エッチ///!」
「ダメ?」
「ダメ!」



力を入れた一言
ヒカルは舌を鳴らし





「お昼買って来たから、食べよ?」
「お。何があるー?」
「えっとねー…」





優しく包みこんでくれる
そんな柔らかいにおいが
あなたのにおい
まるでそのものね
においとあなたはひとつ
たとえそこにいなくても
あたしを包みこんでくれるの

あたしのにおいも
あなただけのものかしら
あたしたちだけがわかる
お互いの証








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Web拍手にて、匿名希望さまからいただきましたお題『におい』です。
恋人ひかりでございますー。
進藤さんに甘いあかりちゃんが描けて楽しかったですーv

進藤さんのにおいは、柔らかいにおいで、あかりちゃんは甘いにおいがします。
もちろん、自分ではわからないです。近くに寄って、抱きしめたりするとわかると言う・・・(笑
進藤さん、ちょっとダイタンです。いつもよりも、ちゅうを進めてみました。
らぶらぶひかり、いいなぁv好きですvv
あかりちゃん通い妻vv


こんなのでよろしかったでしょうか??
少しでもお気に召していただけると幸いです。
お題提供、どうもありがとうございましたvv






2004.06.06
音羽桜姫 拝










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