誰よりも愛しいから
君に逢いたい









愛たくて 逢いたくて











「はぁ」



北斗杯の合宿に入って、3日
明日から、ついに始まる3度目の北斗杯
本当なら、闘志に火がつかなきゃいけないんだけど

俺はそろそろ、限界に近かった


まるで、中毒にかかったみたいに
あかりに会いたくてしょうがなくなってくる




「何や、進藤。ため息なんかついて」

みかねた社が話しかけてきた


「彼女に会いたいとか…そんな悩みだろう」




塔矢が冷たく言い放つ
あっさり言い当てやがって




「進藤、彼女おるんか!」
「一応な」
「どんなコなん!?」




そんな興味深々に

いいよ
教えてやるよ

その代わり、俺のあかり自慢は長いぞ





「あかりっていう幼なじみで…」
「ふんふん」
「すっげぇ可愛いの!」
「見たい!写真持ってへんの?」


もちろん持ってるさ
片時だって、離したことはない


本物のあかりの方がいいけど
随分コレに救われた

そばにいられないことが多いから
せめて、形だけでもそばにおいておきたくて



俺は胸ポケットから、あかりの写真を取り出す



それを見た社は

「かわえぇな」


って
頬なんか染めやがって



「進藤にはもったいないくらいやな」

「くっくっ」
と、かみ殺したように笑って
その言葉に、塔矢も後ろでうなづいて


余計なお世話だって
誰が何と言おうと、俺はあかりが好きで
、あかりは俺が好きだって言ってくれてる


みんな、あかりのこと可愛いって言う
誰が見たって、あかりは可愛い
そのあかりが、俺のモノ

俺だって、信じられなかったさ
好きだって言われた時は

だけど、嘘じゃないんだ
お互いの気持ちは






「ちょっと変わったコなんかな?」
「イヤ、普通のいいコだったよ」
「会ったことあるんか?」
「2、3回ほど」
「へー」
「僕は彼女がいることより、
進藤がちゃんと彼氏というものをしているということに驚いたけど」
「どういう意味だよ?」
「言葉の意味、そのままさ」
「どんな感じなん?」
「そうだね…しいて言うなら…彼女バカかな」
「はははっ」







言いたい放題言いやがって
塔矢だって、人のこと言えねぇじゃんか!


長かった片想いが叶ったんだ
大事にもするさ









「進藤、そんなかわええコが彼女やったら、独占欲強いやろなぁ」
「強いんだよ」








二人がそんな話をしてる時
ふとあかりのことを思い出した
忘れてたわけじゃない
思い出そうとしなかっただけ


逢いたくなるから




だから
この時だけは、思い出さないようにしてたのに


逢いたい
今すぐにでも




狂おしいほどいとしくて
狂おしいほど逢いたくて






ちょっと前までは、こんなことなかったのに

ほんの一日会えないだけで
会いたくてたまらなくなるんだ

声だけじゃたりない

目でとどめて
手を伸ばして

触れて初めて、その存在がここにあると実感できる




そばにいて
名前を呼んで
そのぬくもりを腕の中に











「進藤」




塔矢の声が聞こえて
あかりのことを思い出してたら、いつのまにか二人の会話は耳に届かなかった
突然、現実に引き戻され




「何だよ」


からかわれた代わりにつっかかってやった



「無理すると、対局に支障が出るぞ」
「へ?」



何が言いたいんだ?



「いい加減な碁を打たれても困るしな」


社は後ろで笑ってる


「いい加減になんか打たないさ!」

言い返してやった


俺はいつだって、碁とあかりには真剣さ



俺の返答に、塔矢はあきれたようにため息をつき





「どうせ、集中なんかできないだろ。彼女がいないと」









この言葉で
何となく言いたいことがわかった










「良いのか?」



あかりに逢いに行っても?











「明日の手合いに支障がなければ」




それもう、良いって言ってるよ


あかりに逢ったら、俺
不安も迷いもなくなるから



あかりがいてくれれば











「任せろって!」




俺は飛び出す勢いで
塔矢の家を出た




「ええんか?」
「いいんだよ、彼女は進藤の気迫剤だから」














逢いたかったんだ
誰よりもあかりに




信号待ちがこんなにも長く感じるなんて

それでも、逢える距離にいられることに感謝を覚えて




あかりのうちまで走る









会いたい
アイタイ
逢いたい









こんなに走ったの、久しぶりだ


外から見える部屋の明かりにほっとして
メールを打ち込む







『逢いたい』








そのあとに電話をかけて



「ヒカル!?」

あかりは慌てて出てくれたみたいで



「あかり?今、何してる?」
「何って…宿題…」

学生は大変だな








「ヒカル?何かあったの?」
「何で?」
「だって、メール…」



心配してくれるあかりが可愛くて








「逢いたい…あかりに。」



もうすぐにでも











「出てこれる?」
「え?」
「外。出れる?」
「今から行くよ!」
「電話は切るなよ」




顔を見れるまでは
せめて声で
あかりの存在を感じたい


勢いよくあかりの家の扉が開いて










「…」
「よ!」




あかりは目を大きく開いて俺を見た




「何してるの?」
「あかりに逢いに来た」




やっと逢えた
しばらく…って言っても3日だけど
逢えなかった分だけ
愛しさが増す





「え?だって合宿…」
「また戻るよ」



逢えただけで、充分













「あかりに逢いたかったんだ」
「心配したんだよ?
何かあったのかなって」
「ごめん」
「うん、でも…」



あかりは言葉を止めてまっすぐに俺を見た
あかりと視線がぶつかる


ずっと目を見て
あかりは俺に飛び付いた










「あたしも…逢いたかった」











俺はあかりの頭をなでて

ぬくもりが広がる

離れると、どれだけそばにいるのか幸せか、実感できるんだ
そばにいるとわからない距離が


あかりに逢える
たったそれだけの気持ちで、何倍も強くなれるんだ











愛しいから逢いたくて
逢いたいから愛たくて

僕たちはここにいる








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有閑さまよりいただきましたお題『愛たくて逢いたくて』です。
あかりちゃん大好きな進藤さんです。
3度目の北斗杯ネタです。どうしようか迷ったのですが、二人が離れるのって
挑戦手合いとか出張手合いとか、そんなのしかないですよね。
常に一緒にいて、らぶらぶしてるのが、姫の中のひかりなので。
またも少女漫画のようなノリのお話になったのですが。
社くんが描けて楽しかったですvv
和谷さんにからかわれる進藤さんも良いのですが、
塔矢くんに遊ばれる進藤さんも楽しいです(ぇ)
ちなみに塔矢くんは、市河のお姉さまと付き合ってる設定になっています。
アキイチ好きなのですが、描けないので(涙)塔矢くんだけ友情出演。
「愛」と「逢い」がかけてあるこのお題、うまく描けたか心配ですが。
ひかりネタのはずが、あかりちゃんが・・・二人の会話が少ない・・・(滝汗

こんなのでよろしかったでしょうか??
少しでもお気に召されると幸いです。
お題提供、どうもありがとうございましたvv










2004.06.17
音羽桜姫 拝







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