キミとアタシがここにいるのは












出会えた奇跡














最近、ふと思うんだ
ううん
本当はもう、随分前から




「あたしたち、もし幼なじみじゃなかったら、
今ごろどうしてたのかな?」


って

声にしてみた
そしたらヒカルにも聞こえるから







ヒカルは、棋譜を並べていた手をとめて
あたしの話に耳を傾ける


「いきなりなんだよ」



そうだよね
不思議に思うよね

だけど、こんなこと考えたのは、つい最近じゃないんだ



ヒカルを好きになった時から、ずっと考えてること












「続けてていいよ。特に意味はないんだ」



そう意味はない
ただ何となく考えてしまうだけ




幼なじみだから、当たり前にそばにいたけど
そうじゃなかったら…



「顔も知らなかったかもしれないんだよね…」



不安なわけじゃないの
あたしは毎日幸せで
ヒカルといるのが日常


ヒカルがそばにいるのが、あたしの日常



考え方を変えれば、
それはちょっとした奇跡なのかもしれない












「あたしとヒカルが出会ったのって、奇跡かなって思うの」
「は?」


ヒカルが不思議そうな顔をする

さっきからあたし、よくわからないこと言ってるよね










「ヒカル、奇跡って信じる?」
「奇跡って、あれだろ?
再起不能な人が生き返ったりとか、そういうヤツだろ?」
「ちょっと違うかも…」
「そういうの、あんまり信じないけど。あるんだろうな」


ヒカルは碁盤を懐かしそうに見た


この碁盤には、ヒカルとある人との思い出がたくさんつまってる
その人のこと、詳しくはしらないけど
今はもういないけど

千年も生きてたって
それこそ、立派な奇跡

ヒカルが、その人と出会えたことも、
奇跡だよね?












じゃあ
あたしとの時間は?

あたしとヒカルが会えたのは










「もしね、あたしとヒカルが幼なじみじゃなくて
、ただ普通に会ってたら、あたしたち、どうしてたかな?」
「考えたこともねぇな」
「顔も、名前もしらなかったかもしれないよ?」



そうだよ
こうやって一緒に過ごせる時間だって
もしかしたら、なかったかもしれない





「だからね、あたしたちが出会ったのって、奇跡かな…って思ったの」


ヒカルは、まっすぐにあたしを見た
あたしもヒカルを見つめ返す











「奇跡だとか、そんなのどうだっていいよ」
「え?」
「あかりは今、ここにいる」
「うん」
「俺は?」
「え?」
「俺は今、どこにいる?」






どこって







「ここ?」


ヒカルは
「よろしい」
なんて、えらそうにうなづいた






「幼なじみとか、俺にはそんなの関係ないよ」
「何で?」
「何でって…
俺はあかりが好きで、あかりは俺が好きだから」
「わかんない」
「わかれよ」




わかんないよ
抽象的すぎて



そうだよ
あたしはヒカルが大好きで
だから付き合ってる
だから一緒にいる










「一緒にいたいからいる。
それじゃダメなのか?」
「ダメじゃないよ」
「奇跡とかさ、そんなの関係ないじゃん」
「どうして?」
「うーん…今ここにいるから」
「わかんないよ」
「俺、実を言うと、奇跡って好きじゃないんだ」
「何で?」
「奇跡って、悪く言えば偶然だろ?」




意味は大して変わらないかもね








「俺はあかりと会えたの。必然だって思ってるから」






必然…
言い換えれば
運命?







「そりゃ、会えたわけだから奇跡にはなるのかもしんねぇけど
あかりと会えたことを、奇跡なんて言葉で片付けたりしたくないんだ」




それは一度、なくしているから?
奇跡に近い出会いをした人を







「それに、たとえ偶然として出会っても、
俺はあかりのこと、好きになったと思うよ」








最高の口説き文句ね









「うん。あたしも」


たとえ幼なじみじゃなかったとしても








でもね、ヒカル



「知ってた?」
「何が?」
「奇跡はね、永遠に変わるんだよ」
「へー。それなら奇跡も悪くないかも」
「何それ」










変わらない気持ちがあれば
奇跡はいつの日か、永遠に変わるの



どんな想いも、出会えたことから始まるの
今ここにいるのも
ここにある想いも
ヒカルと出会えたから


これから、どんな奇跡と出会うかな
どんな出会いという奇跡を感じられるかな


だけど、後にも先にも
ヒカルと出会えたことが
一番の奇跡











キミとアタシがここにいる
出会いという名の奇跡


重ねていこう

出会えた奇跡が
いつか永遠になるその日まで










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有閑さまより頂きましたお題『出会えた奇跡』です。
姫、奇跡とか運命とか永遠とかいう単語が、大好きなんですよ。
ので、この作品には、お題にかこつけてそういった言葉をたくさんだしてみました。

あかりちゃんのふとした考えから
幼なじみって関係って、すごく微妙ですよね。
幼なじみだから好きとか、そんなの絶対にわからないですし。
幼なじみで一番よくわかってるから、好きになる確率が他の人よりも高いってわけでもないですし。
好きだって気づくのもきっと他の人よりも遅いとおもいます。
そして気づいた後も、どうしていいかわからなくて戸惑ってしまう
すごく微妙な関係が、幼なじみだと思っています、姫は。

出逢うことって、奇跡ですよね。一つ一つが小さな奇跡
それが積み重なっていくと、それは永遠になるんです。
小さな出会いが重なって、お互いの気持ちがつながって
いつしかそれは、ずっと続く永遠になる。
そうなるといいね、あかりちゃんv

こんなのでよろしかったでしょうか??
少しでもお気に召されると幸いです。
お題提供、どうもありがとうございましたvv







2004.06.20
音羽桜姫 拝








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