二人で分け合えば
何でも二つ
















半分こ

















「いらっしゃいませー
ご注文はお決まりでしょうか?」
「えっと…じゃあ俺は、ハンバーグ定食で。
あかりは?」
「あたしは…ランチお願いします」
「かしこまりました」







ウェイトレスが
礼をして厨房へと入って行く















「何か、久しぶりだな。あかりと会うの」
「そうだねー」




その久々をかみしめて





「それにしても。ハンバーグ定食なんて…
午後からも手合いでしょ?」







「できるの?」




あかりが困った顔をする




一日オフというわけではなく
ヒカルは午後からも仕事




「食べ過ぎない方がいいんじゃない?」
「食べ過ぎじゃねぇよ?足りないくらい」
「ウソ…」
「俺は今、成長途中なの」
「太るよ?ヒカル、動かないんだから」
「別にいいよ。太ったって」
「あたしがイヤなの!」
「心配しなくても、自分の健康管理くらいできるさ」







『ガキじゃねぇんだから』

と笑う




それを聞いて
何だか寂しいような気持ちになった
ヒカルが遠くなるような気がした
付き合ってはいるものの
幼なじみさは、まだ抜けていない














「うるさいのもいるしな」



ヒカルは、あかりを見て意地悪に笑う




「誰のことかしら?」
「どこかの誰かさん」





誰のことを言っているのか
あかりはちゃんと理解した





「その人が止めてくれるから、食べ過ぎなくてすむんだけどな」



自分だけではわからない
あかりが止めるだろうと思うから、少なめを選ぶ






「ヒカルってそんなに素直だっけ?」
「俺はいつでも素直デス」
「あたしの知ってるヒカルは、ああ言えばこう言う、天の邪鬼さんだけど?」
「それ、俺じゃない」








あかりは苦笑する
だけど、先程感じた寂しさは、いつのまにか消えていた

ヒカルの言葉に消された

いてくれるから、無理をしない

自分のためを言ってくれるヒカルが嬉しかった




恋人同士になっても
やっぱりお互い傷つきたくない心理が働くから


もしも離れる日が来た時
ちゃんと戻れるように
一線を引いておこう




あかりはそう考えてきた



だけどヒカルは違う
今まで以上にあかりを求めるようになった





それでもそばにいられるのだとわかったら
自分の中で感じることができたら
手放しで委ねたい
そう願う















「お待たせいたしましたー」





料理が運ばれてきて




二人の前に並ぶ






「美味しそう」
「いただきます!」





ナイフとフォークに手を伸ばす








「ねぇ?ハンバーグ美味しい?」
「ん。うまい」
「一口ちょうだい?」
「一口な」
「ケチ」
「あげないなんて言ってないだろ?」
「ケーチー」
「そんなこと言ってると、やんねぇぞ?」
「あっごめん!ごめんなさい!」






少し意地悪を言ったあかりは、逆に仕返しをされて
素直に謝る







「早く食べないと冷めるぜ?」
「もー!イジワルー!」
「…何でだよ」






あかりの言うことは、たまにわからない
意地悪はあかりの口ぐせだ












「食べるよ?」
「どうぞ」




あかりは、ハンバーグにはしを伸ばす
口に運んだ





「美味しい」
「うまいだろ」




ちょうどよい焼き具合で、美味しかった






「誰かさんも、これくらいうまく焼ければな」
「何よ!ヒカルのバカ!」
「あかりのアホ」
「!!
ああ言えばこう言う…」
「俺だけ言われるなんて、不公平だろ?」
「そういうの、ヘリクツって言うんだよ?」
「へー」






「もー!」







と、あかりはまた怒る
これも口ぐせのようだ







あかりは頬を膨らませながら
今度は自分の食事に手をつける






「そっちより美味しい」
「俺にもちょうだい!」
「あーっ!」




ヒカルは素早く、あかりのランチに手を伸ばす






「うん。うまい」
「あげるって言ってないのに」
「あかりも食べたからおあいこ」





ヒカルはハンバーグを頬張る
あかりは、少し昔を思い出した


小さい頃は、何でも半分こだった
自分が食べるものをすべて、ヒカルと半分こしてわけあった
そうすれば、すべて同じになるから













「ふふっ」




思わず笑ってしまった




「何だよ?」
「何でもなーい」
「思いだし笑い?」
「うーん…まぁそうかな?」
「何だよ、言えよ」
「何でもないったら」
「気になるんだって」




さっきまで頬張っていたハンバーグをそっちのけで
ヒカルは問いただす








「半分こ。しよ?」
「は?」
「半分こ!小さい時、良くしてたじゃない」
「そうだっけ?」
「そうなの!」









あかりはちゃんと覚えてる
今も





「はい、あたしの半分あげる」
「…わかったよ」








二人でお皿を交換して











「楽しいね」
「そうかぁ?」
「だって、一人で二つを味わえるんだよ?
お得な気分にならない?」
「めでたいヤツ」
「ヒカルがいるからかな」
「何言ってんだよ…」




二人でわけあえば
違うものも発見できる
半分こを合わせたら一つになる
そうなる日が来ますように













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10のお題3つめ。「半分こ」です。
本当は、ちびひかりで描く予定でした。
ちょうどこのお話であかりちゃんが思い出してる小さい頃のお話です。
そのうち追加されるかもです(笑)ちびひかり、絶対描きたいので。

お昼時、棋院近くのお店に入った二人。
進藤さん、そのあとご飯をおかわりした模様です。
あの頃の男のコって、ご飯結構食べますよね。
進藤さんは身体あんまり動かさないから、お腹もへらないかなーとかも考えたんですけど。
やっぱり育ち盛りの頃って、何もしてなくてもお腹すくかなーとも考えたり。
ご飯の取り合いっこしてるあたり、二人ともまだ子供です。
ちなみにおまけのちびひかりはこちら。







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