太陽に背を向けて
のびるのは二つの



































一年二組


季節は秋






小学校の生活にもだいぶ慣れて





廊下を、サイドで髪をうさぎのように二つに結んだ女の子が
教室をのぞきこんだ

















「ヒカルー!一緒に帰ろ!」






まだ光るようなキレイな
新しいランドセルをしょったあかりが
ヒカルを教室まで迎えにきた








「おー!」













友達と話していたヒカルは
ランドセルを肩にかけ





「じゃあお先ー」




と、




教室を後にする


















「遅かったじゃん」
「お掃除が長引いたちゃったの」
「あかりはトロイからなー」
「トロくないもん!」
「ウサギだし」
「わけわかんないよ」






軽く言い争いをしながら



二人は校門を出た






















家が近いこともあり
二人は幼なじみとして過ごしていた


幼稚園の時から、いつも一緒






学校への登下校も、当たり前のように一緒だった






今日はあかりが迎えにきたが
大体ヒカルが迎えにくる












登校中にあかりが




「迎えに行くから待っててね」




と、約束をしたのだった






















「今日ね、こくごの授業でね…」





学校帰りはいつも、
各々が過ごしたクラスの出来ごとを話しながら帰る






「ひかるっていう字、習ったよ」
「オレ、かたかなだし」
「でもヒカルなの!」
「それより算数だよ!わけわかんねぇ」
「ヒカル、計算嫌いだもんね」







あかりがくすくすと笑う










「っていうか、頭使うのキライ」
「それは重傷…」










ヒカルは勉強が嫌いだった
学校へは、遊ぶために行っているようなものだった












「ねぇね!今日は何して遊ぶ?」
「うちでゲーム」
「じゃあヒカルんち行くね!」







帰ってからも、まだ遊ぶらしい























幼稚園の頃から遊んでいる公園で立ち止まり






「すべり台、したい!」







あかりが指をさす







「寄り道?」
「うん!」










目で合図を交わして
公園へ走りだす






ランドセルをベンチへ置き
誰もいない場所で走りだす







すべり台


鉄棒


ブランコ











二人乗りをして













「行くぞ!」
「うん!」







あかりが座って
ヒカルがこぐ






「もっと高くー!」
「よーし!」





足に力を入れて
さらに高い場所を目指す












揺れるたびに流れる風が気持ちいい














「気持ちいいねー!」
「俺は疲れるけどな!」
「あはは。頑張れー!」







人ごとのように笑うあかりに
ヒカルはゆっくりブランコを止めて













「あー…」







あかりが残念そうな声を出す






目は
「止めちゃうの?」
と、訴えるような目をしている












「ずるくね?」
「何で?」
「俺だけ疲れるじゃん」
「…いつもしてくれるのに」
「学校で、力使い果たしたんだよ」
「そっかー…じゃあ仕方ないね」












あかりは納得して
何かを考えたようだ









「どうした?」
「じゃあさ!どっちが高くまで行けるか、競争しよ!」
「それならいいぜ!」









疲れていても
条件が同じならいいらしい










「負けないから!」
「俺だって!」














ブランコに乗り、スタンバイオーケー











目で合図して






「いくよ」
『よーいどん!』







同時にこぎ出す




















「俺の方が高いー」
「あたしの方が高いもん!」






どっちもどっち






こげはこぐほど
空が近付く気がする




太陽がもっと近く
届きそうに












「もうだめー」









手がしびれてきて



立ってこいでいた姿勢を
座り込みにかえる










「あたしの方が高かったね」
「俺だって」
「あたしの方が、お空に近かったもん」
「ずりー!」






あかりの方が、少し背が高い











「気持ちいいねー」
「おー!今度は負けないからな!」
「頑張れー!」








公園に響く二人の声








ブランコを降りてからも
二人はそこで遊んだ








気がつけば、太陽は傾いていた





















「帰るか」
「うん!」





ランドセルを背負い直す





傾いた太陽が眩しくて







学校を出たときはまだ小さかった影が
二人の背よりも長くのびて





あかりはヒカルの後ろを歩きながら
その影を踏む












「影踏みー!つかまえたっ」
「影踏みー?」
「影踏まれたら、動けなくなるんだよ」
「動けるし。」
「止まらなきゃダメなの!」
「あかり、前歩けよ」
「ヤダー」
「俺も影踏みたい!」
「また今度ー」
「ゲームできなかったなー」
「また明日だね」












長くのびる
並んだ二つの影


つかまえて

一つになるように





この影のように、長く続いてく道を歩いていく










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10のお題8つ目のお題・『影』のちびひかりバージョンです。
小学1年生ひかり。
帰り道に寄り道して遊ぶなんて、なんて幼なじみっぽい(そうか?)
ブランコをこぎあって競争してる二人が可愛く描けてるといいな(><)

影踏みすると、動けなくなるんですよ。
影送りとかしました。
影って面白いですよね。長かったり短かったり。
細く見えるし(笑)
人の影踏むの好きです。

ちなみに恋人ひかりの『影』はこちら。














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