一番ほしいものは何?
今日は、ワガママを言ってもいい日だから
キミの日だから






あげよう









「ねぇヒカル?」
「んー?」
「17日、何の日だか知ってる?」



学校帰り
あかりはヒカルに質問をした

ヒカルは
「17日ー?」

と言いながら、考えるしぐさをした
それを見たあかりは、ぷぅと頬を膨らませたあと
寂しそうな顔をして


「覚えてないんだね」

そうつぶやいた
そんなあかりの頭をこつんと

「痛い…」



あかりが抗議の声をあげると


「覚えてるよ」

ヒカルが笑いながら言った

その言葉を聞いたあかりは、ふぐのように頬を膨らませ


「イジワル・・・」


ヒカルの背中を叩いた




忘れるわけがない
幼なじみの誕生日


少し前から、大切の意味がヒカルの中で変わって
あかりに対する意識も、少しだけ変化した
だから、ちゃんと覚えてる



「17日、夜渡しに行くから」



ヒカルがそう言うと、あかりの機嫌は少しだけ良くなって


「うん、じゃあ待ってるね」


幼なじみは単純だ
一言で感情が変化する
いつも怒らせてばかり
だけど、優しく包み込んでくれる

そんな温かいあかりを、誰にも渡したくないけど言えなくて
せめて、大切な日だけは、自分を少しでも意識してもらえるように




ヒカルがプレゼントに用意したのは
あかりがほしがっていたオルゴール

一緒に映画を見に行ってほしいと頼まれた帰りに見つけた
あかりの好きそうな店の前で
あかりはふと立ち止まり、そのオルゴールを食い入るように見ていた

「欲しいの?」
と聞いたら
「別に」
って言ったけど


あかりは何かを欲しがるとき
直接『欲しい』とは言わない
間接的に表現するから
それを知ってるヒカルは、翌日
その店へ行って、オルゴールを予約した
あかりだけの特注品




<16日>

その夜、あかりからヒカルへ、確認の電話


「明日、ちゃんと覚えてる?」
「覚えてるよ」

電話から聞こえるヒカルの声は
何だか少しめんどくさそうで
あかりは少し悲しくなった

だけど
「ちゃんと行くから」
と約束してくれたヒカルの声は優しかったから
何だか少し、安心して


「明日、楽しみ」


電話ごしに聞こえる、あかりの楽しそうな声に
彼女じゃないのが悔やまれて
「好きだ」って言えたら
気持ちが届いたら
違う誕生日を迎えられたかもしれないのに

誕生日を祝えるだけでもいいと、考えるべきか
ヒカルは、あかりに気づかれないように苦笑して
電話を切った



<17日>


夕刻
手合い帰りに、予約したオルゴールの店へ立ち寄ったヒカルを向かえたのは
「間に合わないかもしれない」
という、店主の言葉だった

どうやら、オルゴールに内蔵する音楽の部品の到着が遅れたようで
事故で
店主を責めても仕方ないと
「なるべく、急いでください」
ヒカルはなだめるように、言葉を発した



何とか今日中に間に合えば
渡しに行けるから

一握りの可能性を秘めて


待つだけしかできなくて
それでも時間は一刻と過ぎていく
時計の針は
9時を指そうとしていた

店の中ではあわただしく、人が駆け抜ける




あかりは家で、ヒカルが来るのを待っていた
約束してくれたから、絶対来てくれる
そう信じて




どれくらここで待ったのだろう
ヒカルは小さくため息をついて
携帯電話を取り出した

ディスプレイには『あかり』の文字

3回くらいコールしたあと


『もしもし?ヒカル?』

変わらない声が聞こえた


『あかり、俺だけど・・・』


”今日行けないかもしれない”


伝えなくては
これ以上待たせるのは、あかりに悪い気がして
彼女なら、「待ってて」と言える
でも違うから
自分の勝手で、あかりを困らせてはいけない



『ごめん、今日行けないかも・・・』



向こう側から、返事はなくて
心が痛んだ
約束したのは自分なのに、断ったのも自分
あかりがどれだけ楽しみにしていたか
自分なりにちゃんと理解していた


好きなのに傷つけてしまう
そんな自分が情けなくて

『ごめん』


ただ謝るしかできなかった



『ごめん』



電話から聞こえる悲痛な声に
あかりには、ヒカルの顔が思い浮かぶようだった

微笑ましくて
気にしてくれただけで充分で
ヒカルの気持ちはちゃんと届くから




『何か、あるんだよね?いいよ、気にしなくて』

優しい言葉をかける

約束を守れないこと
それはきっと
誰よりもヒカルが自分自身を責めているから




『ごめん』

なおも謝るヒカルの声を、瞳を閉じて聞く

『うん』


そばにいないけど
包み込めるように




『できました!』


突然、電話の向こうから声が聞こえて
続いて、ガタっという、ヒカルの立ち上がる音が聞こえて



何があったのだろうかと、しばらく電話の向こうの音に耳を澄ましていると




『今から行くから!』


ヒカルの慌てた声が聞こえて

「えっ?」


何かを言いかけたあかりの言葉をさえぎり、
電話は切られた



「ヒカル?ヒカル!?」




切れた電話に向かって話しかけても
返答があるわけがなく
あかりは理解できず


ただ
『今から行く』
というヒカルの言葉を信じ
表へ出た


星空が綺麗で
街灯がなければ、もっと綺麗に映る星が見える
外で待っていても、もう寒さを感じることはなくて




時計を見ると、時刻は9時半

ふと顔を上げると
向こうから人影が見えた



「ヒカ・・・ル?」


あかりは、玄関を飛び出し
息を切らしたヒカルを迎えた





「あかり・・・」



かなり急いで来たのだろう
額には汗が浮かんでいる




「これ」



ヒカルの手から、何かがあかりへと手渡された



あかりは不思議そうにその包みを見つめる



「プレゼント?」




「あかり、誕生日だから」




ヒカルの言葉に、あかりは涙が出そうになって




「ありがとう」




これを買うために、今日遅れたの?

聞きたいけど、うぬぼれてると思われたくなくて




「あけてみてよ」



ヒカルに言われ、あかりはそっと包みを開けた
中には、あかりが見ていたオルゴール



「これ・・・」


驚きのあまり、それ以上声が出ない




「あかり、この間ずっと見てたからさ
欲しいのかと思って」




何て嬉しい言葉
まさか、ヒカルからプレゼントがもらえるなんて
いつも、言葉だけだった
忘れられてると思ったこともあった

ちゃんと覚えていてくれて
自分の誕生日を、好きな人が祝ってくれる
それは何て素敵な出来事






「ヒカル、大好き」




自分の正直な気もちを
キミに届きますように





「バーカ」





ごまかされたけど
何だかちょっと近づいた気がして

忘れられない誕生日
来年は違うカタチで祝ってもらえるかな
ちょっとだけ、期待してもいいよね?





間に合ってよかった
渡せてよかった
会えてよかった
キミが笑ってくれたから





〜Happy Birthday〜










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あかりちゃんのお誕生日2−です。
どこの少女漫画でしょうね(笑
付き合う前のひかりです。
1は、恋人ひかりの誕生日です。
こちらもフリーですので、どうもお好きな方をお持ち帰りしてやって下さいませv
どちらも欲しいという奇特な方、いましたら両方どうぞです(ぺこりぺこり
何だか、付き合ってるよりもらぶらぶになってしまった気が(汗
そして、予定とだいぶ違ってしまった気が(滝汗
ま、いっか。
今度は進藤さんのお誕生日も考えてある姫だったりして(笑

本当は、新婚ひかりの誕生日も描きたかったのですが・・・
それは、別にUPします(><)
すみません。
間に合えば、今週中にUPして、フリーにしますね。


最後まで読んでくださった方、どうもありがとうございましたvv




もう1こも見る。





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