知らず知らず目で追ってしまう
胸が高鳴るのは・・・

病

最近、何をしていても
幼なじみの顔が浮かぶ
碁を打っていても
友達と話をしていても
買い物をしても
どこにいても何をしても



理由が分からない

「あ、ヒカル待って！」
「何だよ？」
「ちょっと考えさせて」
「こういうのはな、直感で打つもんなんだよ」
「そんなこと言っても・・・」
「ほれ」
「もーっ！」




突然
「指導碁を打て」
なんて俺の部屋に押しかけてきやがって
「待って」
なんて言うんじゃねぇよ

ふとあかりを見ると、
俺の一手に、次はどう打つのか
考えるときのクセなのか、
指を唇にあてて、考えるしぐさをする

目はしらずにその口元へ


って！どこ見てんだ、俺は！


いつも高段者を相手に打ってるから
たまにはなごむだろうと思って打ってやろうと思ったんだけど
全然、全く逆効果
落ち着くどころか、何か違う



「あ、ここだ！」
「へ？」
「へ？ってヒカル・・・」


あかりが不審そうな顔をする

「だから、次の一手はここでしょ？」
「あ、ああ。」
次はヒカルの番ね」



やべ、あかりがどこに打ったか見てねぇ

ま、どこに売ってもあかりには負けるわけがないんだけど



ぱち
ぱち
ぱち



盤面を打つ音が、少しだけ俺の気分を紛らわせる



「ヒカル、のど渇かない？」
「え？別に？」
「ジュース買ってきてあるんだけど、飲まない？」


そう言ってあかりは、かばんの中からペットボトルを取り出した


「はい！」



「はい」って


「１本しかないじゃん？」
「？うん」
「お前のど渇いたんだろ？飲めよ」
「あたし一人だけのんだら、ヒカルに悪いでしょ？」
「別にいいよ」
「よくない！だから、一緒に飲も？」
「ば・・・っ！」
「何？」


変なとこでガンコなんだよな、こいつ
一緒に飲むって、違うだろそれ？
俺のこと考えるなら、２本買ってこいよ！


俺の心の叫びを知るはずもなく

「はい、いいよ」

なんて、一口飲んだものを差し出す
人の気もしらねぇで、こいつは
って、言ってないから当たり前なんだけど



「ヒカル？」
「お前なぁ・・・違うだろ？」
「何が？」

この天然！

「お前、さっきそれ飲んだろ？」
「飲んだよ？」
「だからその・・・」
「何？」
「ああもう！いいよ！
飲むよ！」


俺はヤケになって、あかりからペットボトルを奪い取り
豪快に飲み干す



「おいしい？」

なんて聞いてたあかりも
俺が一気に飲んでいるのを読み取ると

「ちょっとヒカル！それあたしの！」


止めにはいるがすでに遅く
俺がすべて飲み干したあとだった
これ以上余計なことされたら、
俺もう、普通じゃいられない

「あー・・・」



あかりは、俺の飲み干したペットボトルを見つめ
残念そうにつぶやいた

「何で全部飲んじゃうの？」
「うっせえなぁ、俺だってのど乾いたんだよ！」
「むー・・・」



俺の不機嫌な態度に、あかりは頬をふくらませる
ダメだ
怒らせたのは俺なのに、
そんなあかりを見て
「可愛い」
そう思ってしまう
俺、何かおかしい



俺の異変に気づいたあかりが心配そうに近づく

「ヒカル？気分でも悪いの？」
「何でもねぇよ」
「顔が赤いよ？熱でもあるんじゃ」
「何でもねぇって！」


俺は、触れそうだったあかりの手を払いのけた

「ヒカル？」

あかりが不安そうな顔で俺をみる

もうこいつ
ほんとしらねぇ

そう思った瞬間
腕は自然にあかりを抱きしめてた
ふわりと甘い、いい香りと
少しのぬくもりが伝わる



「ヒカル・・・？」


あかりの声にはっとして、俺は我に返った


「ゴメン、！俺今なにして・・・！
っていうか、あの！」


うわ
今、ものすっごく顔が赤いんだろう
顔が熱くなってるのがわかる

「あたし、帰るね」
あかりは真っ赤な顔をして俺の部屋から出て行った



何してんだろ俺、ほんと

ヘタと床に座り込み、頭を抱える
怖がらせてしまっただろうか
もう俺の部屋、来ないかも
とか
そんなこともうどうでもよくて
俺の頭の中は、あかりのぬくもりと
抱きしめたここちよさ
それだけが残る




「ヤベ、俺やっぱビョーキかも」

この病気は多分、彼女にしか治せない

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ごめんなさい（滝汗
病ってちょっと違うんじゃ・・・
でもこのお題を見たときから、これしか思い浮かばなかったです
アホです、そうです、姫はアホなんです。



ひかりのことしか頭にない今の姫。
病といえば、恋の病でしょう！
こういうことには、あかりちゃんの方が早そうですが（何が！？
あえて、進藤さんにさせてみました。
別にあかりちゃんｖｅｒもあります。
こちらからどうぞ。



最後まで読んで下さいました方。
どうもありがとうござましたｖ